カネミ油症新認定訴訟 最高裁に「判決破棄を」 原告弁護団が上告理由書

 カネミ油症の新認定患者らがダイオキシン類などに汚染された食用油を製造、販売したカネミ倉庫(北九州市)などに総額2億7500万円の損害賠償を求めた集団訴訟で、原告側弁護団は30日、最高裁宛ての上告受理申立理由書と上告理由書を福岡高裁に提出した。書面では、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅するとした民法の「除斥期間」を適用して訴えを退けた一審、二審の判決破棄を求めた。

 油症患者が過去に起こした一連の訴訟終結後に油症認定された本県などの新認定患者によるこの訴訟は、一審、二審判決でいずれも除斥期間を適用。油症発生翌年の1969年末から起算し、原告の大半が認定される前の89年末に「訴える権利」が消滅したとして訴えを退けた。患者、遺族ら原告54人が福岡高裁判決後の3月、最高裁に上告している。

 書面では、除斥期間を適用しないよう主張。さらに、仮に除斥期間を適用した場合でも、判決で油症発生翌年とした起算点は、原告の油症認定時とすべきと訴え、「油症認定されて初めて損害が顕在化する」と強調している。また原告のほとんどが2004年の診断基準改定後に認定され、認定前は何の支援も受けられなかったという「カネミ油症被害の特殊性」も考慮するよう求めている。

 原告団長の1人、岩村定子さん(64)=五島市奈留町=は「一、二審判決は、認定される前に裁判を起こせという無理な論理だった。最高裁の判断に期待したい」と話した。

(2014年7月1日掲載)

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