「除斥期間内」判断 「油症裁判にも影響」カネミ関係者

 札幌高裁の性的虐待訴訟で判断が注目された「除斥期間」は、本県に原告が多いカネミ油症新認定訴訟でも最大の焦点。油症訴訟では一、二審判決でいずれも除斥期間が適用され、訴えを退けられた原告は上告中。今回の判決が油症訴訟の最高裁判決に影響を与える可能性もあるとみて原告らは期待を寄せている。

 カネミ倉庫(北九州市)に油症患者が損害賠償を求めた集団訴訟は一、二審の判決で、油症発生翌年の1969年末を起算点とし、2008年の提訴時には除斥期間(20年)が経過しているため損害賠償請求権は消滅していたと判断された。

 原告側弁護団の古坂良文弁護士は、油症患者は年月がたってからも多様な病を発症している点に触れ「症状の軽重にかかわらず後から発症した病気を起算点として認めたのならば、油症裁判にも影響があるのでは」とみる。原告団長の岩村定子さん(65)=五島市奈留町=は「(性的虐待訴訟で)裁判官は除斥期間だけでなく被害者の主張に目を向けている。私たちにも少しは望みがあるかもしれない」と語った。

(2014年9月26日掲載)

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