ジャガー、完全自社設計の『F-type GT4』披露。I-PACEはミシュランのワンメイクに

 ジャガーは1960年代の伝説的モデル、『D-type』以来となる完全自社開発のGTカー、『ジャガー・F-type GT4』を発表した。

 1月12~14日にイギリス・バーミンガムの国際トレードセンターで開催された『オートスポーツ・インターナショナル・ショー(ASI)』の会場でアンベイルされた、このV8搭載のF-type GT4は、イギリスを中心に障害者スポーツの支援サービスを展開するインビクタス・ゲームスがスポンサードする『インビクタス・ゲームス・レーシング』のエントリー名で、2018年シーズンのブリティッシュGTチャンピオンシップに参戦する。

 F-type GT4は、大手服飾企業を運営するジェームス・ホルダーの要請を受け、イギリス・コベントリーにあるジャガーの高性能ロードカーを手がける特別部門、SV0(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)が開発を担当。

 ジャガーが誇る1960年代の伝説的名車である『E-type』の源流ともなり、1950年代のル・マン24時間を制した『C-type』、『D-type』以来の完全自社設計GTカーとなり、その製造も当時のレースカーと同じブラウンズレーンの施設で行われている。

 この14カ月間、F-type GT4のデザインチームを率いてきたのは、1999年にル・マン・ウイナーとなったBMW V12 LMRのデザインコンサルタントを務めたグラハム・ハンフリーで、最初のシェイクダウンテストは3月初旬を予定。そのオペレーションは、インビクタス・ゲームス・レーシングを運営するデビッド・アップルビー・エンジニアリングが担当する。

 F-typeは、ラインアップの高性能版である『F-type SVR』をベースとし、5リッターのV8スーパーチャージャーと4輪駆動システムを踏襲。

 このプロジェクトを立ち上げたホルダーは、過去2年間英国GT選手権のGTクラス4に参戦しており、その経験をもとにチャリティを目的とした新たな挑戦をしたかったと語った。

「チャリティのためにただ小切手を手渡すだけでなく、新しく何かクールな事に挑戦したかったんだ」とホルダー。

「その考えに共鳴してくれたのがインビクタス・ゲームスで、ジャガー・ランドローバー社は長年その活動を支援してきた」

「この短期間にもかかわらず、ジャガーのSVO部門は素晴らしい仕事を成し遂げた。彼らのこのプロジェクトに対する本気度が伝わって来るようだ」

 インビクタス・ゲームス・レーシングの新型F-type GT4は2台の投入が予定され、シーズンの半分をジェントルマンドライバーがシェア。

 その双方ともにプロフェッショナルドライバーがタッグを組む形となり、過去2年間ホルダーとともに戦ったマシュー・ジョージと、昨年のTCRドイツで優勝経験を持つアメリカ人、ジェイソン・ウォルフがステアリングを握る予定となっている。

 ジャガーSVO部門は、すでにシリーズ投入予定の2台とテストプログラム用の1台、合計3台の製造を終えており、顧客の要望次第ではさらなるマシンの生産も検討するとしている。

 また同じ会場では、フォーミュラEの併催シリーズとして、2018年後半のスタートが予定されている『ジャガーI-PACE eトロフィー』のオフィシャルタイヤサプライヤーとして、ミシュランと提携したことが発表された。

 ジャガー初のエレクトリック・パフォーマンスSUV『I-PACE』を用いて開催されるこのシリーズは、世界初の市販車ベースのバッテリー電気自動車による世界選手権となり、グリッドに並ぶ全20台のマシンには、FEと同じくミシュランタイヤが装着されることとなった。

 すでに、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)が参戦を発表しているほか、今後も有力チームの参戦が見込まれている。

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