日本が世界に誇るタフネス 連続フルイニング出場世界記録の金本知憲氏

野球殿堂入り通知式に出席した金本知憲氏【写真:細野能功】

広島ではトリプルスリーを達成、阪神では03、05年にリーグ優勝

 平成30年度、プレーヤー表彰で野球殿堂入りを果たした金本知憲氏は1968年4月3日、広島県に生まれる。同級生には岡林洋一、佐野重樹、水尾嘉孝、高木晃次、下柳剛、飯田哲也、杉浦正則、西村龍次、内藤尚行、長谷川滋利、タフィ・ローズ、野茂英雄、近藤真一、藪恵壹、藤井将雄、山崎武司、高津臣吾、潮崎哲也、矢野輝弘、緒方孝市らの野球人がいる。MLBではマイク・ピアッツア、バーニー・ウィリアムスらが同じ1968年生まれだ。

 広陵高校時代は甲子園出場なし。東北福祉大に進み、佐々木主浩、矢野輝弘、斉藤隆らと黄金時代を築く。1991年、ドラフト4位で広島に入団。入団当初は前田智徳、緒方孝市、山崎隆造などの外野手の控えだったが、次第に頭角を現し1995年初めて規定打席に到達。24本塁打、67打点、打率.274でベストナインに選ばれる。以後、中軸打者として25本塁打、80打点前後の安定した成績を挙げる。広島時代にはベストナインに3回選出され、2000年には3割30本30盗塁のトリプルスリーを達成した。

 2002年オフ、FA権を行使して阪神に移籍。阪神でも中軸打者として活躍。移籍選手ながら「アニキ」の愛称で絶大な人気を誇り2003年、2005年のリーグ優勝に貢献。2005年はMVPに選ばれている。広島時代は94打点が最多だったが、2004年には113打点で打点王、2005年にも125打点をマーク。長打力、勝負強さは阪神移籍後の方が際立っている。長打とともに特筆すべきは、選球眼の良さで好球をじっくり待つ辛抱強さがあり、最多四球を6回記録している。

1492試合連続フル出場は世界記録、どんな状況でも試合に出続ける鉄人

 そして何といっても特筆すべきは「鉄人」と言われるタフさだろう。広島時代の1998年7月10日から始まった連続試合出場は、阪神に移籍してからも続き、2011年4月15日に途切れるまで1766試合を記録。これは当時史上2位(現在は、鳥谷敬に抜かれて3位)。1999年7月21日から2010年4月17日まで1492試合連続フルイニング出場を記録。これはNPB記録。MLB記録をも上回っている。さらに2000年5月12日から01年9月28日まで続いた1002打席連続無併殺は日本記録となっている

 しかし、連続試合出場の終盤は故障もあって十分にプレーできない時期もあり、2010年は全試合に出場して規定打席未達という史上唯一の記録も作っている。2012年、44歳の年に引退。通算2539安打は史上7位、1521打点は史上8位。平成以降にデビューした選手ではいずれも最多だ。MVP1回、ベストナイン7回、オールスターには11回選出されている。

 広島時代の通算成績は1179安打、244本塁打、708打点、打率.287。阪神時代は1360安打、232本塁打、813打点打率.283と2球団で1000本安打を達成。また、2球団で200本塁打を打ったのは落合博満(ロッテ242本、中日210本)と金本の2人だけとなっている。

 FA移籍選手として移籍先で打った安打数は、1360安打で1位(2位は稲葉篤紀の1195安打、3位は谷繁元信1106安打。内川聖一が1060安打で続行中)。金本知憲は、現時点では最も活躍したFA選手と言えるだろう。また“平成最強”の打者といっても過言ではない。引退後は解説者を経て2016年から阪神の監督として采配を振るっている。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2