豊田通商、豪資源会社に260億円出資 リチウムを中長期的に確保

 豊田通商は16日、アルゼンチン・オラロス塩湖でのリチウム資源開発プロジェクトを共同推進する豪州の資源会社オロコブレ社への出資を決定したと発表した。パートナー関係を強化し、リチウムを中長期的に安定確保する。出資金額は約2億9200万豪ドル(約260億円)で、第三者割当増資の引き受けおよび新株予約権無償割当を通じ15%出資する。出資資金は同プロジェクトの拡張(フェーズ2)に充当する。拡張後は生産能力を現行の年間1万7500トンから同4万2500トンに引き上げる。2018年半ばにフェーズ2の最終投資判断を行い、19年下半期の稼働開始を目指す。

 同出資により、両社は戦略的なアライアンスを締結し、豊田通商が大株主として経営に参画することで、より強固なパートナー関係の構築を図る。フェーズ2では炭酸リチウムの生産能力を年間約2万5千トン引き上げる計画で、フェーズ2で生産されるリチウムについても豊田通商が独占的販売権を保持する。これにより、電気自動車の普及加速などで急速に需要拡大が見込まれるリチウムの長期的・安定的な供給確保が可能となる。

 両社は、同プロジェクトにおいて、2010年に事業化調査に関する覚書を締結、12年に合弁会社を設立し、14年末から生産を開始した。

 また、15年の商業生産開始以降は豊田通商が同プロジェクトで生産されたリチウムの販売を担ってきた。今後も中長期的なリチウム安定供給を目指すとともに、日本での水酸化リチウム生産事業も視野に入れたバリューチェーン構築を検討していくとしている。

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