「近代彫刻の巨匠」没後30年展 作品でたどる高田博厚 鎌倉市

《ポーレット》1968年 ブロンズ 制作地:鎌倉(上)と高田博厚

 近代彫刻の巨匠として知られ、晩年を鎌倉で過ごした高田博厚(1900〜87)の没後30年を記念した展覧会が1月24日(水)から、鎌倉芸術館で開催される。期間中は鎌倉市に寄贈された彫刻作品など約60点を展示。市は「この機会に地元ゆかりで国際的に活躍した芸術家を多くの人に知ってほしい」と話す。

稲村ガ崎にアトリエ

 高田博厚は1900年、石川県生まれ。18歳で上京すると、詩人で彫刻家の高村光太郎らと交流を持ち、31歳の時に単身フランス・パリに渡った。

 現地では『ジャン・クリストフ』などで知られるロマン・ロランやガンジー、ジョルジュ・ルオーら当時を代表する思想家、芸術家と交流。特にロランからは「君は指で思索する」と称賛を受け、当時のフランス社会における代表的日本人として存在感を高めた。

 第二次世界大戦が始まると新聞社の特派員を務め、ドイツの収容所に約1年半にわたって拘留された経験も。終戦後は制作を再開し、57年に帰国した。

 市内稲村ガ崎に住居とアトリエを構えたのは66年。87年に亡くなるまで創作活動を続けたという。

24日から芸術館で

 今回の展覧会は、昨年が高田の没後30年にあたることから企画されたもの。88年に市が遺族から寄贈を受けた彫刻作品やデッサンなど約300点のなかから、約60点を展示する。

 高田が作品制作に傾けた情熱やその技術、背景が伝わるよう工夫された展示になるといい、市は「国際的に活躍した高田の作品を多くの人に見てほしい」と呼びかけている。

 「高田博厚展」は1月24日(水)から30日(火)まで、鎌倉芸術館ギャラリーで開催される。午前10時から午後5時まで。入場無料。

 また、学芸員による展示解説が27日(土)午後3時からと28日(日)午前11時からの2回、開催される。

 問い合わせや詳細は市文化人権推進課【電話】0467・61・3872へ。

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