移住・定住促進 継続的な支援が鍵に 長崎知事選

 長崎県人口は2015年国勢調査時点で約137万7千人。5年前から約5万人減った。少子化に加え、県外への転出者が県内への転入者を上回っているのが要因。対策の一つとして県は移住、定住促進策に力を入れており、一定の成果もみられるが、人口減は今後も続く見通しだ。現状を踏まえた施策の進化と継続が求められる。

 県は16年4月、県内21市町と共同運営のワンストップ窓口「ながさき移住サポートセンター」を開設。県地域づくり推進課によると、同センターや市町の相談窓口を介した16年度の移住者数は前年度の213人に比べ、454人と倍増。17年度は4~9月で412人と好調に推移している。

 しかし、県外でも知名度が高い五島市を除く離島市町では移住者数の面で苦戦が目立つ。移住先は働き口の多い都市部などに偏る傾向にあるからだ。同課は「(五島市と)他の島との差が広がらないように努めたい」としており、首都圏での移住相談会でアピールしたり、現地事業所の見学ツアーを開いたりと離島の魅力発信に力を入れている。

 これに対し、新上五島町地域おこし協力隊として15年夏に移住した同町七目郷の竹内章さん(43)は、もう一押しが必要ではないかとみる。「離島で働こうと考えると観光業や漁業に偏りがち。多様な選択肢があった方がいい」

 今春の任期終了後も島でライター業を営み、妻と定住を続ける。前職は新聞記者。キャリアを生かして地元事業所の報道機関向け発表資料の作成などを請け負う予定。行政などに頼らず自ら受注先を開拓し、仕事のめどを立てたが、支援の仕組みがあれば後に続く人がいるかもしれない。「本土と同じ政策では人は来ない。例えば、ライターやウェブデザイナーといったクリエーターが集まる環境をつくることができないか」

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 島原半島では、若者の流出が深刻だ。県島原振興局によると、半島で16年3月に高校を卒業した1030人のうち、地元企業への就職は約12%の121人にとどまった。島原市では5年間で約2千人のペースで人口が減り続けており、県は歯止めをかけようと、高校生と地元企業との橋渡しに力を入れ始めた。

 同局は昨年春「島原半島地元企業ガイドブック」を初めて作製。半島内の高校全11校に配布した。同6月には同局が主体となり、半島内の高校3年生を対象に初の地元企業合同説明会を開催。51社がブースを並べ、8校の3年生約400人が集まった。

 しかし、参加した高校生からは「他県で就職する際の参考にしたい」という冷めた声も聞かれた。同局地域づくり推進課の職員は「ガイドブックや企業説明会が、生徒への情報提供だけで終わってしまう懸念がある。せっかくできた生徒と企業とのつながりを継続するアフターフォローが必要」と表情を引き締める。

島原半島の高校生を対象に開いた地元企業の合同説明会。定住、移住を促す取り組みが展開されている=2017年6月14日、島原市平成町、島原復興アリーナ

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