金属行人(1月19日付)

 鉄スクラップ価格(電炉メーカー購入値)がH2=4万円に近づいてきた。4万円となればリーマンショック前後以来で9~10年ぶりになる。ただ、戦後に4万円を超えたのは第一次石油危機など数えるほどしかない。異例の高値と言えるだろう▼鉄スクラップが4万円になるかどうかは「中国次第」と考える関係者が多い。今年の旧正月は2月16日から。ここで中国相場が退潮するようなら「スクラップ4万円」も夢幻となってしまうかもしれない▼さて、その中国のこれから。鋼材輸出量を見ると昨年は約7500万トン。2016年は約1億トンだったので30%近い減少になる。需給調整が進んだ結果だが、これで各国メーカーの供給はひっ迫した。これまでの供給過剰を考えると生産調整が行き過ぎたきらいもある。また、電炉生産を増やすというが、これも行き過ぎると次は鉄スクラップがナイモノ高になるかもしれない▼足元の中国相場は調整局面。鋼材価格はじりじりと下がっている。中国メーカー関係者が「下げが本格化すると歯止めは掛からない」と話すように、中国マーケットは極端に動いてしまう傾向がある。長く続きそうな「中国次第」の相場。安定的な中国市場を期待したいところだ。

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