新日鉄住金は18日、橋梁の塗装の塗り替え周期を延長できる高耐食性厚板「CORSPACE(コルスペース)」が沖縄県の橋梁に採用されたと発表した。同県で適用されるのは初めて。橋梁を塩害から守るという同鋼材の機能性が、全国で最も塩害環境が厳しい地域でも認められたかたち。今回の採用をテコに塩害防止が求められる地域の社会・産業インフラ向けなどでさらなる拡販を目指す。
内閣府沖縄総合事務局発注の沖縄西海岸道路浦添北道路にかかる「牧港高架橋」に採用された。橋長476メートルのうち約50メートルの鋼桁部に約350トン使われた。鋼桁の架設はすでに完了し、同橋は18年3月に開通する予定。
コルスペースは鋼材成分として微量の錫を添加しており、塩害に対する高い耐食性を持つ。腐食による塗膜の剥離を抑えられるため、塗装の塗り替え周期を延長でき、橋梁のライフサイクルコストを低減できる。
沖縄県では、従来鋼を使用した橋梁は100年に6回程度の塗装の塗り替えが必要とされる。これに対し今回のコルスペース適用橋梁は3回と半減する見込みだ。
コルスペースは2011年に旧住友金属工業が橋梁向けで初受注し、これまで累計で国内橋梁21件に約7500トン、自社の製鉄所(君津、名古屋、広畑、大分)の大型港湾設備に2500トンの適用実績がある。
融雪材による塩害が起きる東北地方の橋梁などにも適用が広がっている。少子化に伴う人手不足が叫ばれる中、塗装作業の手間を減らせる利点も注目を集めているようだ。