【プロ野球】今秋ドラフトは高校生に逸材ズラリ 現役スカウトが見るドラ1候補12人

侍U-18代表で活躍した藤原恭大(左)と小園海斗【写真:沢井史】

高校生に人気が集中? “三刀流”根尾、ダル恩師が認めた剛腕・米倉ら

 2018年を迎えアマチュア球界もスタートし、プロ野球入りを夢見る逸材たちも始動している。昨年のドラフトでは日本ハムにドラフト1位で入団した清宮幸太郎内野手が実に7球団が競合し、注目を集めた。果たして今年、最高の栄誉となる「ドラフト1位」の称号を得る選手はだれになるのか。現役スカウトへの取材をもとに、候補者12人をリストアップした。

〇大阪桐蔭・根尾昂(投手、内野手、外野手/右投左打)

 中学時代から注目を集めていた逸材がついに最終学年を迎えた。「投・内・外」と、どのポジションでも一線級の実力を持つセンス抜群のドラ1候補だ。最速148キロを記録し、打っては高校通算20本塁打をマーク。遊撃、外野と様々なポジションもこなす。昨年の清宮に負けず劣らず今年の目玉候補になる。

〇大阪桐蔭・藤原恭大(外野手/左投左打)

 実力者が数多く在籍する大阪桐蔭のトップバッター。昨年のU-18侍ジャパン高校日本代表でも2年生ながら1番を打ちチームを牽引した。パ・リーグのスカウトは「高校生だが全てにおいて完成度が高い。体も強くなり、より実戦で結果を残せる選手」と評価。50メートル5秒7を記録する俊足に高校通算21本塁打と強打も武器。中堅の守備も一級品で走攻守を兼ね備えた選手といえる。

〇報徳学園・小園海斗(内野手/右投左打)

 名門・報徳学園で1年からレギュラーに君臨する“世代No1遊撃手”。中学時代はオール枚方で大阪桐蔭・藤原とチームメート。昨年のU-18侍ジャパン高校日本代表でも共に1、2番を務めた。堅実なスローイング、フィールディングはすでにスカウトからもトップ級の評価を受けている。パ・リーグの同スカウトは「ショートは希少価値でどの球団も欲しい。打てて走れる」と口にする。遠投110メートル、50メートル5秒8と身体能力も高い。

〇埼玉栄・米倉貫太(投手/右投右打)

 183センチの長身から繰り出される直球は最速145キロをマーク。東北高校時代にダルビッシュ有投手を育てた若生正広監督も「ダルビッシュ以来の好素材」とその素質を認める逸材だ。高校1年夏から公式戦のマウンドを経験、癖のないフォームからキレのいい直球、カーブ、スライダー、フォークと精度の高い変化球も武器だ。セ・リーグスカウトは「高校生の中では東で一番強いボールを投げる。夏までにどこまで成長するかが楽しみな選手」と評価している。年々、実力をつけており順調にいけば高校No1右腕として評価される日も近い。

〇早稲田実業・野村大樹(捕手・内野手/右投右打)

 1年生から清宮を押しのけ4番を務めた右の大砲候補。身長173センチと小柄だが遠投100メートルを記録する肩、そして高校通算51本塁打を放った長打だけではなく、得点圏で見せる勝負強い打撃も魅力の一つ。1年の時は三塁手として、そして現在は主に捕手としてチームを牽引している。高卒即プロ入り、大学進学かが注目される。

〇花咲徳栄・野村佑希(外野手/右投右打)

 1年秋から4番に座る強打の大型外野手。全国制覇した昨年夏は「4番・一塁」として全6試合に出場し25打数13安打、打率.600、2本塁打を記録した。投手として140キロを記録するなど非凡な才能を見せる。軸回転で広角に打てる打撃にパ・リーグスカウトも「三振かホームランという打者じゃない。率も残して長打も打てる」と評価。

大学日本代表にも選出された辰己涼介【写真:Getty Images】

大学No1外野手に完全試合左腕

〇立命大・辰己涼介(外野手/右投左打)

 50メートル5秒7をマークし遠投120メートルと驚異の身体能力を誇る“大学No1外野手”。1年春からレギュラーを奪い現在までに通算83安打をマーク。パ・リーグスカウトは「走攻守でバランスが取れた選手。巧打だけじゃなくパンチ力もある。即戦力として使える」と評価。2年夏から大学日本代表に選出され大舞台を多く経験している。最終学年でリーグ記録の123安打を超えることができるか注目を集される。

〇日体大・松本航(投手/右投右打)

 高校時代(兵庫・明石商)から注目を浴びていた最速150キロ右腕。首都大学リーグで通算22勝と順調に成長し、昨秋の明治神宮大会は日本一に輝いた。大学日本代表にも選出。伸びのある直球にスタミナも武器で完成度の高い投手といえる。

○富士大・鈴木翔天(投手/左投左打)

 昨夏に15奪三振を奪い北東北大学リーグ史上初の完全試合を達成した最速149キロ左腕。長身185センチ、出所の見にくいフォームで右打者に投げ込むクロスファイヤーで打者を牛耳る。スライダー、カーブ、チェンジアップと緩急を使った投球でゲームを作ることもでき左腕不足の球団にとっては貴重な存在だ。

〇法大・菅野秀哉(投手/右投右打)

 東京6大学で現役最多の15勝を挙げるリーグを代表する右腕。小高工(福島)時代に完全試合を達成し注目を集めた。スリークォーター気味から投げる最速150キロの直球にスライダー、カーブ、シュート、フォークと多彩な変化球を操る。セ・リーグスカウトは「スラっとした体形だがスタミナもある。手足が長くリーチを生かした投球が魅力」と評価している。

一気に評価高めた社会人右腕には「2桁勝利を狙える実力」の評価

〇パナソニック・吉川峻平(投手/右投右打)

 昨年に関大からパナソニックに入社し、今年ドラフト解禁となる最速148キロ右腕。ルーキーイヤーの昨年の都市対抗野球で三菱自動車岡崎相手に14奪三振を挙げ一気にプロの評価を挙げた。力強い直球に空振りを奪えるシンカーが武器。同セ・リーグのスカウトも「奪三振率も高く、あのシンカーはプロでも通用する。先発として完成度の高い投手で2桁勝利を狙える実力がある」と評価している。

〇Honda・斎藤友貴哉(投手/右投左打)

 吉川と同様に今年解禁となる最速152キロを誇る右腕。桐蔭横浜大時代から注目を浴びていたが社会人野球の名門・Hondaに入社。1年目から184センチ、91キロの恵まれた体格を武器にスリークォーターから投じる常時150キロを計測する直球で打者をねじ伏せる。セ・リーグスカウトは「体に力があり、空振りを取れるストレートを持っている」と評価している。

 現時点では上記の通り、高校生6人、大学生4人、社会人2人とあえて12人に絞ったが、今後の成長次第では勢力図が変わることは十分に考えられる。あるセ・リーグスカウトは「即戦力が今すぐにでも必要な球団や、育成に時間をかけられる球団がある。様々な事情によって1位指名は変化する。夏に一気に評価を上げる選手も多いので、今後も評価は変わってくる」と口にする。2月からプロ野球の春季キャンプがスタートし、そしてアマチュア野球は3月から本格的に動き出す。今秋のドラフトで1位指名をつかむことができる12人は一体誰になるのか。逸材たちの今後の動きに注目したい。

(Full-Count編集部)

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