瀬谷区内タクシー会社 聴覚障がい者に「安心」を ファクスで送迎を円滑に 横浜市瀬谷区

説明会に集まった関係者ら。左から、さかいの会・安蔵富江さん、豊嶋会長、赤塚さん、石川代表、益田代表、瀬谷消防署の鈴木秀岳さん

 聴覚障がいがある人が安心してタクシーを利用できるようにと、区内のタクシー会社「三ツ境交通(有)」(石川治代表・瀬谷)と「瀬谷交通(有)」(益田裕隆代表・北町)が今月11日、ファクスを用いた配車サービスをスタートさせた。聴覚障がい者に自宅などを事前登録してもらうことで、安定的でスムーズな送迎を目指す。

 タクシー会社と聴覚障がい者がファクスを通じて、登録と配車をやり取りするサービス。前もって名前・連絡先、自宅や外出頻度の高い場所の住所・目印を登録する仕組みになっている。配車を依頼する時は希望日時、乗降場所、人数などをファクスでタクシー会社に送る。対応エリアは瀬谷区全域と旭区の一部。

 検討のきっかけは約1年前、健常者と聴覚障がい者で構成される「瀬谷区手話サークルさかいの会」(豊嶋和代会長)が瀬谷消防署に対し、増加する救急出場対策として相談ダイヤル(♯7119)の活用と、救急車の適正利用を申し出たことだった。課題となったのが、救急車を利用せずに自力で医療機関に行くための交通手段。夜間はタクシーを呼ぶ必要があるが、聴覚障がい者が単独で依頼することは難しいケースもあり、円滑な配車方法の確立が必要とされた。

 導入に向けては、消防署・さかいの会・タクシー2社、瀬谷区内の子育て支援のNPO法人まんまなどが協力して、昨年から検討を重ねてきたという。今月11日には、関係者を招いた説明会が二ツ橋地域ケアプラザで実施された。

 豊嶋会長は「声をあげたことが実現して嬉しいです」と話し、さかいの会の赤塚けい子さんは「これまでは、近所の人に協力してもらいタクシーを呼んでいました。障がいに対する理解が深まって欲しい」と期待を寄せた。石川代表と益田代表は、「聴覚に障がいがある方が、不便なくタクシーが利用できるようにしたい」「瀬谷区をきっかけに、同様の取り組みが他地域にも拡がれば」とそれぞれ話した。

 瀬谷区役所によると、聴覚に障がいがあり、障がい者手帳を交付されている区民は355人(2017年3月末時点)。登録申込書など問い合わせは三ツ境交通【FAX】045・520・9333、瀬谷交通【FAX】045・345・7599。電話の場合は両社共通の専用問合せ先【電話】045・360・1144。

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