厚木基地防音工事見直し検討 対象区域を防衛省

 厚木基地(大和、綾瀬市)周辺で航空機の騒音対策として行われている住宅防音工事の対象区域について、防衛省が見直しを検討していることが、20日分かった。同基地駐留の米艦載機が岩国基地(山口県岩国市)に移駐することに伴う措置。同日、綾瀬市で開かれた講演会で同省幹部が明らかにした。

 講演会は「今後の厚木基地について」をテーマに、綾瀬市基地対策協議会が主催。講師を務めた同省南関東防衛局の鋤先幸浩企画部長は、今春にも岩国移駐が完了する見通しを示した上で「厚木基地周辺の飛行状況の調査分析などを行い(防音工事対象)区域の見直しを検討することになるかと思う」と説明した。

 講演後には、参加者が「移駐が実現すると、防音工事対象区域が小さくなることが懸念されるがいかがか」と質問。これに対し同部長は「(実態調査は)2018年度に入り、早期に開始する。最低1年かかる」などと応じた。

 厚木基地駐留の米艦載機は、昨年中にFA18戦闘攻撃機など36機程度が岩国基地に移駐した。残りの同戦闘攻撃機2部隊も今年5月ごろに移駐する予定。

 同基地周辺の防音工事は、うるささ指数(W値)が75以上の地域で無償で行われている。対象は大和、綾瀬両市などの約26万2千世帯。

 同基地周辺の防音対策を巡っては、同省が昨年12月、基地周辺の約9万7千件に支払ってきたNHK受信料の補助制度を見直し、防音工事が完了している約5万8千件の補助を今年8月末で打ち切る方針を明らかにした。

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