児童生徒造形作品展 感性キラリ 力作3千点 造形教育研究会70年のあゆみも 横須賀市

 横須賀美術館で現在、「児童生徒造形作品展」が開かれている。市立幼稚園・小中学校、高校、ろう・養護学校の児童生徒の作品約3000点を展示するもので、今年で70回目。これを記念し、会場内では同展を主催する「市造形教育研究会」のあゆみを掲示。関係者らによるパネルディスカッションも催されている。会期は29日(月)まで。

 第1回目の作品展は1948年、教育研究所で行われた。3回目以降はさいか屋や諏訪小学校、文化会館と会場を変え、2009年からは横須賀美術館で開催されている。

 テーマは「豊かな心を育てる造形教育」。日々の授業での成果を発表する場として、毎年行われている。市立幼稚園2園と小中学校、高校、ろう・養護学校計72校から、約3000点を展示。会場内では、学校別の平面作品のほか、小学校では「ふしぎなかんづめ」「まわれ!宇宙船」「わたしは陶芸家」など多種多様な題材の立体作品も並ぶ=写真。大会で賞を受けた市立横須賀総合高校生徒の油彩やデザイン画・立体なども出品されている。

 昨年は期間中に約1万4千人が来館。「作品が大きな美術館に展示されることも、児童生徒にとって大きな励みになっていると思う」と同館学芸員は話す。

発足は戦後すぐ

 この作品展を主催するのは、市教育委員会・横須賀美術館のほか、美術教員などで構成する市造形教育研究会。同会の前身は1946年に、5人の教員が立ち上げた市図工科同好会だった。戦後間もなく、まだ各教科の研究会もない時期のことで、後に小中高が連携した「図工科研究会」「造形教育研究会」に発展し、鑑賞教育の提案や材料の研究、教育課程の作成、指導力向上など研鑽を深めてきた。近年では「アートカード」の作成・活用にも取り組んでいる。今回の展示会場では、造形作品展と同会の70年のあゆみをまとめたパネルや50年代に発刊した手刷りの版画集「よこすか」の表紙も見ることができる。

 1月24日(水)には、市内小学校による研究発表のほか、長年、市内の造形教育に携わってきた識者や市立横須賀総合高校美術部顧問の高野芳幸教諭らによるパネルディスカッションも企画されている。ワークショップ室で午後3時開会、参加無料。

保育園児の作品も

 会期中、横須賀美術館と市保育運営課の連携事業「保育園鑑賞会」のパネル展示も行われている。市立保育園10園に同館学芸員が出張し、カードやパズルを用いて作品に興味を持ってもらう「出前プログラム」と、実際に美術館で鑑賞した後、作品作りに挑戦する「遠足プログラム」を組み合わせたもので12年から実施。「作品に触れたり鑑賞の楽しみを体験することで、美術館を身近に感じてもらいたい」と担当者。完成した作品(ワッペン)は同館2階の図書室前廊下に展示している。

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