白銅、福島工場に全自動フライス機 ステンレス厚板の加工強化

 非鉄流通大手の白銅(社長・角田浩司氏)は、福島工場に全自動6面フライス加工機を導入し、ステンレス厚板の加工能力を増強する。今月末までに設備の取り付けを終え、量産稼働体制に入る。液晶製造装置を中心とした産業機械部品などに利用されるステンレス部材の加工能力を高め、顧客対応力の強化を目指す。

 福島工場は2006年に稼働を開始した東北エリアの基幹工場で、他拠点に比べてステンレスや特殊鋼を豊富に在庫している。1月末に稼働を始める全自動ステンレスフライス加工機は、機械に切板をセットすればロボットが全自動で6面フライス加工品まで仕上げる新鋭機。対応範囲は幅100ミリ、長さ200ミリ、高さ100ミリ。白銅が設備メーカーと共同開発した独自システムを採用した全自動機としては、数年前に神奈川工場に設置された設備に続き2基目の導入となる。

 ステンレスフライスに力を入れる白銅の加工能力をめぐっては、半導体製造装置や液晶製造装置などの産業機械部品の引き合いが増加している一方、アルミに比べて加工に時間が掛かるなどの課題がある。また引き合いの増加に対して人員が不足していることから、ステンレスフライスの加工能力がひっ迫。設備を増強しなければ顧客への短納期対応が困難と判断し、今期中の増設を決めた。全自動機を導入することで、従来より増員なしでの生産性の効率化を進めることができる。

 白銅は全自動フライス加工機を導入することで「ステンレスフライスの加工能力が一段と引き上がる」(森兼耕次営業企画室長)としているが、一方で「足元の引き合いの伸びを計算すると、今回の設備増強ですべての納期の課題が解消できるわけではない」(同)と説明。引き続き、人材育成や生産性の効率化による加工能力アップに取り組んでいくとしている。

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