BTCC:3度の王座獲得経験を持つホンダのエース、ゴードン・シェドンが電撃離脱

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権で3度のドライバーズチャンピオン獲得経験を持つゴードン・シェドンが、2018年シーズンを前にシリーズからの電撃離脱を表明。新たに発足するWTCRワールド・ツーリングカー・カップに参戦する計画を立てているという。

 イギリス・ホンダのワークスチームとして、長年シリーズのフロントランナーとして戦うチーム・ダイナミクスに所属。名実ともにホンダのエースとして走ってきたシェドンは、10年以上のキャリアでホンダ・シビックとともに3度のタイトルを獲得してきた。

 2001年にプロダクション登録でBTCCにデビューし、2006年にチーム・ダイナミクスに移籍すると同時にトップカテゴリーに昇格。当時の『ホンダ・インテグラ・タイプR』でBTCC初勝利も記録している。

 1年間のブランクを経て2010年にふたたびダイナミクスに合流したシェドンは、2012、2015、2016年と、シリーズの歴史上7人のみとなる3度のドライバーズタイトル獲得の栄冠に輝き、通算勝利数ではジェイソン・プラトや長年のチームメイトであるマット・ニールを抑え、48勝で歴代4位の座に就いている。

 現地1月22日に公式発表を行ったシェドンは「今日は僕にとっても本当に困難で、感情的な1日だ」と、その複雑な胸中を明かした。

「2018年のブリティッシュ・ツーリングカー・チャンピオンシップに参戦しないことを決めた。それは同時に、ホンダやチーム・ダイナミクスの面々と、ともにレースを戦えないことを意味する。彼らは過去11年間の私の人生の一部であり、ほとんど家族のような存在なんだ」

「(代表の)スティーブとマット・ニールは、2006年にチャンスを与えてくれた。そこから振り返ることなく前進を続け、ただのフィエスタ・レーサーから3度のBTCC王者にまでなることができた。その成功はマットの3度のチャンピオンと並んで、チームに内在する勤勉さと、強力な決意と情熱の証だ」と、シェドン。

「そしてテクニカル・ディレクターのバリー・プラウマンを筆頭に、チーム・ダイナミクスのメンバーにはいつも感謝の気持ちで一杯だ。とくに、2006年からずっと僕のレースエンジニアを務めてくれたエディー・ヒックリーには、永遠の感謝を捧げたい」

「チーム、ホンダ、そしてサポーターとのパートナーシップが成功したことは、僕にもたらされた望外の幸運だった。これはひとつの章の終わりかもしれないけど、決して僕らが築き上げた友情の終わりではないことを明言しておきたい」

 そのお別れのコメントに対し、僚友のニールも「彼は永遠にチーム・ダイナミクスの一部だ」と惜別の言葉を贈り、シリーズの歴史上で最も成功を収めたコンビネーションの解散を惜しむと同時に、彼の新たなるチャレンジの成功を祈る、と語った。

「彼は我々の家族の一員であり、壮大なサクセス・ストーリーの主役だった」と、ニール。

「シェドンは新たな挑戦に向けエキサイティングな機会を得ているし、我々が彼をここに押し留めることはできない。驚異的なコンペティターであり、確実に恵まれた才能を持っている。その新たなチャレンジでも成功を収めることを心から祈っている」

「ひとつ確実に言えることがあるとすれば、“フラッシュ”(シェドンの愛称)が世界のどこでレースを戦っていようと、彼は常にチーム・ダイナミクス・ファミリーの一員であり、我々のチームの一部だということだ」

 今後の進路についてまだ正式アナウンスはないものの、ベルギー・メディアの報道によれば、2017年のTCRインターナショナル・シリーズでチャンピオンを獲得したジャン-カール・ベルネイとともに、2018年シーズンはWTCRワールド・ツーリングカー・カップに参戦する計画だという。

 具体的には、昨季のTCRインター最終戦にレパード・レーシングからスポット参戦したシェドンは今季、ベルネイとともにチームWRTに移籍。このベルギーに拠点を置く強豪チームから、TCR王者とともに2台のアウディRS3 LMSでWTCRにエントリーする予定だ。

 すでにブランパン・エンデュランス・シリーズでもR8 LMSを走らせるなど、アウディとの強いパイプを持つチームは、これでWTCRにもアウディで参戦することとなり、シリーズのグリッドには先にアナウンスのあったデニス・デュポン、オーレリアン・パニスのコム・トゥ・ユー・レーシング2台と合わせて、少なくとも4台のアウディRS3 LMSが並ぶこととなる。

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