約6年ぶりとなるベスト盤の第3弾は実に多彩だ。
前半の11曲はシングル表題曲を収録し、全作詞を水樹が手掛け、作曲や編曲共々、タイアップアニメを意識したような、孤独と闘う内容が多い。特に、『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの4曲は超絶。弦楽器やエレキの演奏が炸裂する中で水樹が抗うように絶唱したり、一人で複数のパートを掛け合って歌ったり、カラオケで数曲歌ったら酸欠になりそうなレベル。他方、『魔法少女リリカルなのは』シリーズの3曲など、ケミカルライトで応援するファン向けのノリよいポップロックも様になっている。
後半の6曲は更に作風がオープンに。和を感じさせる新曲『粋恋(スイレン)』の愛しさから一変、T.M.Revolutionとのコラボ2曲は2人の絶唱がまさにバトルのよう。さらに、愛媛県の国体ソングでは故郷ののどかさを明るく伝えるなど、この1枚だけでも通常歌手の器量を軽く超えている。
写真集を兼ねた歌詞集や90分超の映像も豪華。本作を堪能すれば、究めたつもりでいた趣味や仕事を見直したくなるはず。
(キング・CD+BD 3500円+税)=臼井孝