2018長崎県知事選 現職陣営 投票率向上に躍起

 知事選は中盤戦に入った。現職の中村法道候補(67)の陣営は「投票率45%」を目標にしたものの、内部から「このままでは前回(40・72%)を下回る」との悲観論が聞こえる。自民党主導だった前回と異なり、後援会主導の体制に「動きが鈍い」と冷めた視線も。組織内に、しがらみや摩擦を抱える一方、熱意の差があるのは否めない。

 告示前、日本青年会議所九州地区長崎ブロック協議会は、中村候補と新人の原口敏彦候補(56)の公開討論会を検討した。両候補とも応じる意向だったが、日程調整がつかなかった。論戦をインターネットで配信する計画で、若者も引きつけるチャンスが一つ消えた。

 「高いかなあ」。投票率45%の目標に対し、中村候補は21日、記者にそうつぶやいた。陣営関係者は「前回を超えるのが課題だ。『投票行こうキャンペーン』を張る」。長崎市内の選挙事務所には15人ほどの県職員OBが出入りし「僕らの世代は仲間意識が強い」として、かつての同僚たちに電話で投票を呼び掛けている。

 陣営の主導権が、経済人や県職員OBらでつくる後援会に移った。関係者によると、前回の自民県連執行部が積極的に運営に関与したのに対し、今回は一定任せる姿勢。その結果、所属議員の集票に熱が入らない面も。佐世保市の自民関係者は「市議はほとんど動いていない。県議も選挙カーにくっついて回るぐらい」と実情を明かす。自民県議の一人は「いまだ県議会会派分裂を引きずっている」と解説する。

 この状況に後援会関係者は「自民の手を借りなければならないのは事実」と悩ましげに話す。

 逆に、中村候補の街頭演説を聞いた複数の自民県議が「長い」「チラシに書いていること以外を言うべき」などとあげつらい、改善を促す文書を事務所に持ち込む一幕も。うち一人はこう話す。「知事は本気の選挙をまだしていない」

 演説会の反応を見ると、中村候補の出身地で加藤寛治県連会長の地盤でもある島原半島や、諫早市では比較的盛況な一方、「佐世保市や西海市での集まりが良くない」(陣営関係者)と地域差がうかがえる。

 その地域ならではの施策の達成状況や展望など、応援演説をする首長がどれくらい熱意を持って市民に伝えられるかもポイントだ。

 「特別交付税を12億円以上確保してもらった」「3期目もただただ頑張って」。こう派手に持ち上げる首長もいれば、実績が思い付かず「何を話せば良いのか」と悩んだり、「実務は優れていてもビジョンや展望を熱く語ることが少ない」と不満を漏らしたりと、ここでも濃淡がにじむ。

中村法道候補(中央)の応援演説をする自民県連の加藤寛治会長(左)ら=18日、長崎市内

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