金属行人(1月25日付)

 年初来、各地で行われている新年賀詞交換会。業界のリーダーたちが発するメッセージは、ようやく迎えた需要期を歓迎し「商機到来」への期待感と、それを実際の「稼ぎ」に結び付けるための具体的な事業展開の重要性を説く話が多い▼ここ何年かは「日本の景気は底堅く、五輪開催に向け期待要素も多分にある」との見通しのもと「足元悲観、先行き楽観」の捉え方が大勢だった▼「いずれ必ずやってくる景気好転」を信じ、旺盛な需要を謳歌する姿を想定して厳しい環境下での種まきを怠らず、自らの土壌改良に余念がなかった鋼材加工流通業は今、その自助努力を成果に結実させるための最終段階を迎えつつある▼M&Aやパートナーとの連携・協業、拠点拡張や設備能力の拡充、海外事業展開、後進への事業承継…。「今期うちは過去最高業績となりそうだ」という鉄屋が、規模の大小や地域を問わず多いのが頼もしい▼とはいえ今の景気上昇機運と鉄需回復傾向が、業界すべてに配分されるとは限らず「選ばれた先」に偏って集まるようだ。選別基準は「市場ニーズを察し、独自の価値を創造・提供して競争優位性を備える」であり、逆に無策では好機を逸しかねない。まさに「因果応報」。経営者の腕の見せどころだ。

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