食害 賠償求め提訴へ 諫早 干拓農地入植の2法人

 国営諫早湾干拓事業の干拓農地で野鳥による農作物の食害対策を怠ったとして、農地に入植する農業生産法人2社が、農地を管理する県農業振興公社と国、県に損害賠償を求め、週明けにも長崎地裁に提訴することが25日分かった。請求額は未定。2社は営農者らが国に開門差し止めを求めた訴訟の原告団に加わっていたが、近く脱退する方針。

 2社は2008年4月に入植し、計41ヘクタールでレタスやブロッコリーなどを栽培。毎年秋から春にかけて、農地を取り囲む調整池に飛来するカモが夜間に農作物を食い荒らし、今季も2社計4千万円の被害が見込まれるとしている。

 干拓農地は同公社が5年ごとの契約で貸与しており、4月以降の営農継続には農地利用権の再設定が必要。同公社は、再設定の条件として求めた「リース料滞納の場合は契約解除」などとする同意書や審査に必要な資料が提出されなかったとして、2社に3月末までの撤退を求めている。しかし、2社はともに撤退を拒んでいる。

 このうち1社は、4月以降に同公社が農地明け渡しを求めた場合、利用権の有効確認も争う構え。もう1社は農地の排水不良などを理由に、支払い済みのリース料の一部返還も求める。

 2社の代表はそれぞれ「食害を訴えても何年も放置し、一方的なリース契約を押し付けるのはおかしい」と話している。

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