インディ500王者の琢磨が新体制で初走行「グラハムもリスペクトしてくれている」

 2017年のインディ500チャンピオン、佐藤琢磨が2018年に向けて本格的に始動した。

 すでにデトロイトでベイビーボルグトロフィーを受け取り、インディアナポリスで巨大バナーの設営に出席するなどプロモーションでは相変わらず忙しい琢磨だが、いよいよマシンに乗り込んでテストを開始した。

 すでにシステムチェックのテストは済ませていたが、1月24、25日にセブリングで行れたインディカーのテストは実質的な初走行だ。

 今年アンドレッティ・オートスポートからレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLLR)に移籍した琢磨。カーナンバーは30となり、今回もチームメイトのグラハム・レイホールとともにテストに参加。

 マシンは紺とメタリックブルー、そしてホワイトにカラーリングされており、新しいダラーラのマシンの流曲線が際立つ。新しいエンジニアのエディ・ジョーンズとも時折話し合いながら、準備を進めて行った。今回はレイホール2台の他に、アンドレッティ4台、シュミット2台、デイルコイン2台、AJフォイト2台、カーリン1台、計13台のテスト参加だ。

 初日、インスタレーションラップの後、さらに確認の走行を進めると、電気系にトラブルが発生して、一時待機。修理はすぐに終わり再びコースイン。午後からも各部のチェックをしながら周回を重ねると、バンピーな路面でマシンのフロアを打ち、その対策の為にまたマシンを降りた。

 夕刻のいちばんタイムの出る時間帯にニュータイヤを履くことが出来ずタイムの更新はならなかったが、概ね順調にテストはこなせたようだ。

「今日は実質的に初めての走行でしたが、ニューマシンにありがちな初期トラブルで、大きな問題ではなかったですが、タイムを出せなかったのは残念です。グラハムともデータを見ながら率直に意見を交わせましたし、彼も僕のことをリスペクトしてくれて、スムーズにいったテストだったと思います」

「エンジニアのエディは、とても論理的な考え方をする人で、AJフォイトの時のドン・ハリディみたいな感じですね。昨年までも彼は予選でタイムが出なくても決勝までにはちゃんとマシンのスピードを挽回させていたので、レースでも信頼出来るエンジニアだと思います」

 琢磨の初日90周近くを走りベストは51秒59で13台中4~5番手と言うところ。

 グラハムはデイトナ24時間レースに出場するために、二日目のテストは琢磨のみ。琢磨の二日目のテストは、ホンダのマニュファクチャラーテストをしたガナッシとシュミット以外のチームに割り当てられているエクストラ5時間とタイヤ2セットの時間枠で行われたが、残念ながらここでもマシンのトラブルが発生。

 コスワースのエンジンマネジメントシステムとリヤサスペンション周りのトラブルらしく、この日は25ラップにとどまった。

「今日もトラブルが出てしまったのは残念ですが、次のフェニックスのテストまでには対策出来ますし、その後セブリングでもう一度テストもありますので、その時にはタイムも期待できるでしょう」

「テストでトラブルは出し切ってしまった方がいいですからね。完璧な二日間とは言えませんが、チームと仕事はうまくいっていますし、グラハムと一緒にこのクルマを仕上げていくのはうまくいきそうです。もちろんガナッシやペンスキーを相手にするのは簡単ではないですけど、ニューマシンになってどのチームも条件は同じですから。開幕まで万全の体制にしてのぞみたいですね」と語った琢磨。今後の仕上がりを楽しみにしよう。

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