宿河原小 心に刻め「どんど焼き」 30年の歴史に幕 川崎市多摩区

竹が「パーン」という音をたてて燃焼

 市立宿河原小学校(岩田昭彦校長)で伝統行事のどんど焼きが1月19日に行われ、30年の歴史に幕を下ろした。わらなどの材料不足や、近隣住民への配慮などを踏まえ、今年で最終回に。参加した同校児童や教職員、関係者らは校庭で最後の炎を見届けた。

 準備、運営のまとめ役で民生委員の大岡祥浩さん(72)の解説で、児童らはどんど焼きについて学習。岩田校長は「みんなの心にしっかり刻んでほしい」とあいさつし、点火した。高さ10メートル近くに組まれたどんど焼きに火がつくと、全校児童約780人をはじめ学校関係者、近隣幼稚園、保育園の園児らが見守った。実行委員の一人、3年の田中莉結(りゆ)さん(8)は「心にずっと残したい」と感想を話した。例年、宿河原幼稚園(関山真弘園長)では年長のみ参加していたが、今年は年少、年中を含む約200人で参加。「寂しいが、続けてくれたことに感謝したい」との声も聞かれた。

 全国各地で昔から行われるどんど焼きは、竹の周りにわらを立てかけ、正月のしめ飾りやだるま、書き初めを積み上げて点火する行事。同校では、昔の暮らしを学ぶ3年生の地域学習として、どんど焼きを社会科の一つに取り入れてきた。

 民生委員やPTAの現役、OBら地域住民の協力のもと準備や当日の運営を担ってきたが、周辺の水田や竹やぶが減少し、材料のわらや竹が入手困難に。火の粉や灰が近隣住宅に飛んで苦情等につながることもあり、昨年ごろから取りやめることが話題に出始めたという。

 同校のどんど焼きの発起人で、民生委員への協力呼びかけや、わら集めなどを担ってきたPTA会長(当時)の三留一泰さん(73)=宿河原在住=は「30年は一つの区切り。近所との関係もあるので仕方ない。でも地域の伝統は継承していかなければ」と思いを話す。三留さんは同校で昔遊びを長年教えており、今後も続けていきたいという。

団子を焼く児童ら

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