レジェンドの金言 原辰徳さん、山下泰裕さん東海大で座談会

 数々のトップアスリートや五輪メダリストを輩出してきた東海大学体育学部の創設50周年を記念した講演・座談会が27日、平塚市北金目の同大湘南キャンパスで開かれた。同大OBでプロ野球巨人前監督の原辰徳さん、ロサンゼルス五輪金メダリストで同大副学長の山下泰裕さんに加え、バサロ泳法でソウル五輪金メダリストとなった鈴木大地スポーツ庁長官も登壇。各競技で世界の頂点を極めたレジェンドらの“金言”に、訪れた1500人の聴衆はじっくりと耳を傾けた。

 座談会は「スポーツの価値を高めるために〜Tokyo2020とそれ以降に向けて」というテーマに沿って、現役時代の挫折や教訓を紹介した。

 先日、野球殿堂入りした原さんは、幼いころからの夢だった巨人入りが東海大相模高時代にはかなわず、同大進学後に4球団のドラフト会議を経て成就したエピソードを紹介。「信念は岩をも通す、というか自分が目標や夢を持ち続けたからこそ巨人入団をかなえることができた。可能性を秘めた若者が希望や信念を持つことは大事」と話していた。

 また、選手の疲弊やケガに配慮し、今夏の甲子園から試合短縮のために導入されるタイブレーク制度については「未来ある選手にわれわれが正しいルールを作った上でフェアに戦わせてもいいのでは」と理解を示した。多様化するスポーツや社会の中で、野球界発展には若い世代の育成環境整備が必要と強調した。

 日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化本部長を務める山下さんは、近年の子どもや若者の心の不安定さを指摘し「解決するためにスポーツは大きな力があると思う。2020年をレガシーとするためには、金メダルを求めることを超えて市民がスポーツに関心を持ち、子どもたちが夢を持って目を輝かせる環境にしていきたい」と力を込めた。

 夫婦で参加した伊勢原市の男性(70)は「どんな選手にもさまざまな挫折を経験した先に成功があったことを知ることができた。五輪後も多くの人がスポーツに直接触れ、実践することが大事ということが伝わった」と話した。

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