「何らかの形で野球を続けて」北海道で女子野球3選手が野球教室を開催

女子選手を対象にした野球教室に参加した埼玉アストライア・山崎まり【写真:石川加奈子】

北海道出身の3選手、山崎、小原、金が参加

 女子選手を対象にした野球教室が28日、札幌のバッティングセンター「ピッチャーガエシ」で行われた。

 講師を務めたのは、女子プロ野球選手の山崎まり内野手(28=埼玉アストライア)と小原美南投手(20=愛知ディオーネ)。“マドンナジャパン”のワールドカップ5連覇に貢献した元日本代表の金由起子内野手(40=ホーネッツ・レディース監督兼任)も急遽加わった。

 道内各地から集まった小学4年から高校1年の15人は、北海道出身の3選手を憧れの眼差しで見つめ、真剣に話を聞き入っていた。人工芝スペースでキャッチボールやゴロ捕球の基本を教わり、打席では個々のフォームに合わせ、普段の練習で意識することなど助言を受けた。

 吉田理桜さん(札幌手稲東小6年)は「中学に進んでからの変化球に対応するコツを教えてもらいました。下半身の使い方についての説明がとてもわかりやすかったです」とヒントをもらってうれしそう。川島一乃さん(栗山小6年)も「女性なのにプロってカッコイイ。私も中学、高校で野球を続けたいし、将来はプロや日本代表を目指せたらいいですね」と目を輝かせた。

 2時間の教室の最後に設けられた質問コーナーでは、食事やトレーニング方法、プロテストの内容など質問が続出。時間がなくなり、3人で打ち切られたが、受講者たちの積極性が光った。

 その熱気は講師にも伝わった。3年連続でこの教室に参加している山崎は「どうやったらうまくなるのかという興味を持っていて、女の子の意識、実力が年々高くなっていると感じます」と感心していた。

女子選手に指導する元日本代表の金由起子【写真:石川加奈子】

年に40回ほど野球教室で指導の山崎「何らかの形で野球を続けてほしい」

 山崎が所属する埼玉アストライアは年間300回以上野球教室を開いており、山崎自身も年に40回ほど指導に当たっている。過去に指導した子供たちが選手として活躍するのを目の当たりすると、感慨深いという。「女の子たちには何らかの形で野球を続けてほしいと、いつも願っています。だから1回1回の野球教室を大事にしています」と、女子野球伝道師としての役割も自覚して活動している。

 プロ5年目の昨季はキャリアハイとなる打率.352をマークした山崎。チーム最年長となる今季は、日本一と個人タイトル獲得を目標に掲げる。子供たちの“憧れの存在”であるためにも、さらに腕を磨く。

 一方、昨年6月にプロテストに合格した小原は、この日が実質的な野球教室デビューだった。「最初は緊張しましたが、みんな楽しそうに野球をやっていてよかったです」と笑う。昨年6月、アカデミーから初めてプロテストに合格と、下から這い上がった。投手登録だが打撃も評価されており、今季は“二刀流”に挑戦する。「まずはピッチャーで先発して初勝利を挙げたいです。バッティングは長打を打つタイプではありませんが、強い打球でヒットを重ねられるよう頑張りたいです」と目標を語った。

 北海道で育った女子プロが地元の女の子を教える年1回の貴重な機会。教える方も教わる方も有意義な時間を過ごした。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2