便利をお届け”移動コンビニ” セブンイレブンが買い物支援 三浦市

19日、出発式で商品を購入した吉田英男市長

 コンビニ業界大手の「セブン─イレブン・ジャパン」(東京都千代田区)は、今月19日から三浦市内全域で移動販売サービス「セブンあんしんお届け便」をスタートした。日常の買い物が困難な”買い物弱者”の支援と、高齢者の見守りを目的としたもので、同社は三浦市と協定を締結。吉田英男市長は「高齢化率が高い三浦で、不便している人のケアをしていただき大変ありがたい」と述べた。

 車両は同社が独自開発した軽トラックを使用。常温、20℃、5℃、マイナス20℃の四温度帯の商品管理が可能で、おにぎりや弁当、カップ麺、ソフトドリンク、惣菜、アイスクリームや冷凍食品など約150品目を用意する。客のリクエストに応じた商品の入れ替えや、クレジットカードでの支払いができるなど実店舗と同等のサービスを提供する、まさに”走るコンビニ”だ。

 巡回エリアは、三浦市役所と小売店が少なく買い物利便性が低い市内10カ所をコースに選定。1日7カ所、月曜から木曜(祝日休業)の午前10時30分から午後4時に営業する。

 また、地域活動にも積極的に参画。行政と連携して、高齢者などの見守りでまちづくりに貢献していく。

 同社による移動販売サービスは、全国1道27県で55台が稼働。神奈川県内では湯河原町と相模原市に次いで3例目の実施となる。事業を運営する「セブン─イレブン京急ST三崎口店」の比留川昌利店長は、「昨年からテスト販売を行い、準備を進めてきた。多くの皆さんに『近くて便利』をお届けしたい」と意気込みを述べた。

 19日の式典後、城ヶ島では販売が行われ、約20人の地域住民が買い物を楽しんだ。こうした取り組みについて城ヶ島区の石橋銀一区長は、「品ぞろえも良く、高齢者はとても便利になると喜んでいる」と歓迎の意を示した。

増加する弱者

 人口減少や少子高齢化による小売店・商店街の衰退、単身高齢者世帯の増加、交通事情、身体能力の低下などが原因で、買い物に不便を強いられている人をさす”買い物弱者(難民)”。経済産業省が2015年に公表した統計によると、全国で約700万人にのぼり、その数は増加傾向にあるという。

 となりの横須賀市では、久里浜商店街がこのほど「お使い便」と名付けた移動販売を開始した。高齢化率の高い住宅地をモデルに、地元自治会館で月2回、即席店舗を開店。生鮮品など加盟店の商品を豊富に取りそろえる。

 同商店街は、4年前から買い物を代行する御用聞きサービスを実施。「品物を自分の目で選びたい」との声に応える形で移動販売をスタートさせた。

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