【MLB】野茂と新人王争い 有資格1年目で米殿堂入りの名手が球史に刻んだ偉業

現役時代、ブレーブス一筋で偉大な活躍を見せたチッパー・ジョーンズ氏【写真:Getty Images】

97.2%の高得票率で殿堂入りしたチッパー・ジョーンズ

 2018年度の全米野球記者協会の投票で米国野球殿堂に選出されたチッパー・ジョーンズ氏はアトランタ・ブレーブス一筋のスラッガー。候補になった1年目に97.2%の高い得票率(75%以上が当選)で選出された。

 1972年4月生まれ、フロリダ州の出身。高校時代から傑出した遊撃手で、1990年のドラフト1巡目、全体でも1位でブレーブスに入団。1500人近いドラフト指名選手の頂点としてMLBに入った。ドラフト同期にはマイク・ムッシーナがいる。

 マイナーリーグの階段を順調に上がり、入団4年目の1993年にはMLBに昇格。9月11日のパドレス戦では遊撃の守備固め、9月14日の同じカードでは代打で三塁に初安打を打っている。入団時からスイッチヒッター。翌94年はキャンプからメジャースタート。活躍が期待されたが、左膝靭帯断裂の大けがをして1年を棒に振る。

 95年に復帰、ポジションは遊撃手から三塁手に変わる。140試合に出場し、23本塁打86打点、打率.263と活躍するが、この年、ナ・リーグでは野茂英雄がデビュー。新人王投票では野茂英雄118.0ポイントに対し、ジョーンズは104.0と僅差で敗れる。「NPBで十分にキャリアを積んだ選手に新人王の資格があるのか」という議論が起こった。

 ブレーブスは1990年に名将ボビー・コックス監督が復帰。以後、2010年まで21シーズンの長きにわたって采配を振るい、この間に11連覇を含む14回のリーグ優勝、ナ・リーグチャンピオン5回、世界一1回を記録したが、この常勝チームにあって、チッパー・ジョーンズは野手陣のリーダーだった。

 1997年にはオランダ領キュラソー出身のアンドリュー・ジョーンズがデビューする。アンドリューは、長打と外野守備でずば抜けた能力を発揮し、チッパーとともに「Wジョーンズ」としてブレーブスの顔となる。アンドリュー・ジョーンズは2005年に本塁打王、打点王の2冠を獲得したが、2008年にドジャースに移籍、2013年には楽天に移籍し、初優勝に貢献したのは記憶に新しい。

1409三振を上回る1512四球、背番号「10」はブレーブス永久欠番

 チッパー・ジョーンズは19シーズンにわたってブレーブスでプレー、1996年から8年連続で100打点。1999年には45本塁打、110打点、126四球、打率.319でMVPを獲得している。36歳になる2008年には打率.364で首位打者を獲得した。

 勝負強い打撃に加え、リーグ屈指の選球眼。通算でも1512四球1409三振と、三振数を上回る四球を得た。

 2012年のシーズン前に今季限りでの引退を表明、ファンに惜しまれながら40歳で引退した。背番号「10」は、ブレーブスの永久欠番になった。

通算成績は
2499試合8984打数2726安打468本塁打1623打点150盗塁、打率.303

 MVP1回、シルバースラッガー賞2回、オールスター選出8回、2006年と2009年にはWBC代表にも選ばれた。スイッチヒッターとしては468本塁打は歴代3位。打率は左打席で.303、右打席で.304。左打席で361本塁打、右打席で107本塁打。右打席でも左打席でも変わらぬパフォーマンスを発揮、生涯打率.303はスイッチヒッターとして1位。

 その実績から、候補になれば即、殿堂入り間違いなしと言われたが、予想通り97.2%の高い得票率で殿堂入りを果たした。

(Full-Count編集部)

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