普通の元気

 ポツポツ雨の降る中、真っすぐ前を見て走る姿が凜(りん)として。郡市対抗県下一周駅伝大会は昨日ゴールし、3日間の熱戦を終えた。選手の皆さん、それぞれ胸に熱いものを抱いて走り抜けたことだろう-と、寒さに縮こまるばかりの身でいながら思う▲今回がどうかは知らないけれど、他の駅伝に出るはずが体調を崩して欠場し、悔しさを県下一周にぶつけたという選手が過去にいた。駅伝の季節は、インフルエンザや風邪が暴れ回る頃でもある。体調管理には何よりも気を配ったに違いない▲インフルエンザの患者数が全国で過去最多になった。本県もまた同じ。休んじゃいられない大事な時期に、なんてこった…。熱にうなされながら嘆き声の漏れる人も少なくあるまい▲とりわけ高齢だと症状は重くなりがちという。室内では湿度を保ち、手洗いにアルコール消毒に、栄養も休息も。どうぞ予防と、ご自愛専一に▲五行歌の秀歌集で見つけた。〈普通の元気って/宝ものなんだねと/しみじみ 娘が言う/インフルエンザが残していった/とても好(よ)い言葉〉久津見れい▲「普通」のありがたさに気付くのは決まって「普通ならざる事態」になってから-なのだが、まあ、そう言っては身もふたもない。自分に言い聞かせるように「普通の元気」と胸で何度か繰り返す。(徹)

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