投票率アップ策有権者に聞く 音楽で関心集めたら 分かりやすい政策を 意見、注文さまざま

 知事選は2月4日の投票まで残り1週間。現職の中村法道候補(67)と新人の原口敏彦候補(56)は訴えに熱を込めるが、両陣営とも投票率の低迷を懸念している。そこで、27、28両日、両候補の演説場所などで有権者に聞いてみた。なぜ関心が高まらないのか、どうすれば投票率が上がると思いますか-。

 「勝敗が分かっている信任投票みたいだからでは」。選挙カーが通り過ぎるのを見ていた西彼長与町の無職、井上謙さん(70)はこう話す。今まで選挙で棄権したことはないが、今回は迷っているという。同じような分析は複数聞かれた。

 長崎市住吉町の自営業、園田新一さん(50)は候補者と握手を交わした後、しみじみと語った。「今はスマホで何でもできる時代。有権者の興味を引かなければ投票のためにわざわざ出掛ける、とはならないだろう」。佐世保市の60代男性は、会合に現れた候補者を横目に「知事は(市町長に比べて)市民にとって遠い存在なのでは」とぽつり。

 では、どうする?

 長崎市中心部で石木ダム問題の公開討論会を求めて署名活動中、原口候補の激励を受けた大村市の女性(37)は「映画や音楽を入り口に、若い人たちに関心を広げるのは一つのやり方」と提案する。

 小雨が降りしきる中、演説する原口候補に近づき握手した長崎市川上町の自営業、八田慎二さん(60)が重視するのは、日ごろの付き合い。「関心を持たせるには、普段から有権者との接点を増やすべきだ」と知事選候補者だけでなく、あまたの政治家に注文する。

 「大学生を対象に、分かりやすく政策を説明してくれたらいいな」。県立大2年の川端あかりさん(20)はそう提案する。誘われて同市内であった中村候補の演説会に行き、若者の県内定着策に関心を持った。ただ、こうも付け加えた。「友達は候補者の話に触れる機会がない。思いを聞けば、学校で期日前投票する人もいるかも」

 高齢化、交通の不便さ…。対馬市上対馬町内であった中村候補の演説会場に足を運んだ、近くの無職、須川英之さん(65)は郷土の懸案を挙げ、「若い人たちに『投票へ行くことが島の活性化につながる』と理解してもらわないと」。その模範となるよう自らも投票権を行使するつもりだ。

雨の中、演説する知事選候補者(左)の前を通り過ぎる市民ら=長崎市内(写真は一部加工しています)

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