地元産使い商品開発 平塚の企業が制度を活用

 平塚市内の民間企業が手を組み、地元で採れる農水産物などを使った商品を多く手掛けている。市が2016年に創設した「産業間連携ネットワーク」制度の活用が次々と形になっており、市担当課は地域の活性化に結び付けたいと意気盛んだ。

 平塚漁港で年間7トンの水揚げがある回遊魚シイラを使った商品も、ネットワーク制度の活用例の一つだ。

 シイラは米ハワイで「マヒマヒ」と呼ばれて人気の魚だが、国内での評判はいまひとつ。「独特の見た目の悪さ」「鮮度が落ちるのが早い」といった理由から市場で敬遠されていたが、平塚の特産物の商品化に取り組む「鳥仲商店」(同市黒部丘)が着目した。

 漁協に骨抜きや冷凍を依頼し、魚肉を使ったメンチカツとトマトチーズコロッケを開発。生産者が加工・販売を手掛ける「6次産業化」に協力している社会福祉法人「進和学園」(同市上吉沢)が地域の小麦を使用したパンとトマトピューレも採り入れ、それらを挟んだサンドも合わせて編み出した。

 魚独特の臭みを消すのに苦労したという、鳥仲商店の鈴木崇専務は「シイラという魚をブランド化し、子どもや家庭に広まり、飲食店でも扱うきっかけになれば」と期待を寄せる。

 一方、平塚産の野菜のおいしさに注目したのは、スーパー「まじめや」(同市西八幡)。手作りが好評の弁当に添える野菜の一品を地場産にしようと、低農薬などこだわりの野菜作りで知られる「猪俣農園」(同市上吉沢)のダイコンを用いることを目指した。

 調理は、こちらも地元の野菜を扱っているレストラン「旬菜屋NoBu」(同市龍城ケ丘)に相談。平塚生まれのブランド米「はるみ」を発酵させて甘酒にし、それとだし、ダイコンとを混ぜ合わせて「消化に良い」スープに仕立てた。担当した、まじめやの石原裕子さんは「寒い時期にサラダは選ばれないので、体に良い温かい物を作りたかった。ダイコンの後も野菜に特化した商品を作りたい」とシリーズ化を考えている。

 市産業振興課によると、いずれの商品もネットワーク制度を活用し、地元企業の連携によるもの。同課の担当者は「お互いの強みを生かして新商品を開発する、その後押しをして産業を活性化させたい」と意気込んでいる。

 平塚シイラのメンチカツ、トマトチーズコロッケは鳥仲商店で280円(税抜)、大根スープはまじめやで280円(同)。いずれも2月1日から販売される。大根スープは旬菜屋NoBuのコースメニューでも提供される。

 問い合わせは、鳥仲商店電話0463(31)0349、まじめや電話0463(22)6382。

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