避難所運営や在宅避難学ぶ講座開催 川崎・高津

 川崎市高津区内で、震災時の避難所運営を机上体験する企画と、避難所には行かず10日以上の「在宅避難」を目指す連続講座が相次いで開かれた。内容は対照的だが、専門家は震災時の円滑な避難所運営に加え、在宅避難を前提に備えをする人を増やすことが地域防災の要点になるとしている。

 24日に同区役所で開かれた「避難所運営ゲーム(HUG)」は区まちづくり協議会が主催し、今年で3回目。50人の参加者が八つの班に分かれ、避難所を小学校と想定して行った。名刺大のカード1枚を1人の避難者に見立て、高齢・障害者など災害弱者への配慮を念頭に、体育館と教室に避難者をどう割り振るかを話し合ってカードを配置していき、避難所運営の難しさの一端を体験した。

 一方、26日から高津市民館で始まった全5回の講座「めざせ!地域の防災係」は同館が主催し、日中発生の震災で地域にいることが想定されるシニア層を中心に、在宅避難をすることを主眼として開催。災害対策研究会(東京都大田区)の事務局長でマンション防災士の釜石徹さんが講師を務め、8人が受講した。

 釜石さんは、高津区内で大地震による倒壊の懸念がある旧耐震基準の建物に住む人は約2万5千人おり、その数だけで区内の避難所は満杯になると指摘。「新しい耐震基準の家に住む人は、在宅避難を念頭に備えをする必要がある」と呼び掛けた。また、ライフラインの復旧や公助が機能するまでの期間を踏まえ、在宅避難を「10日以上」とした。備えとして主食や飲料水の確保、おかずのローリングストック(循環備蓄)、カセットコンロとポリ袋での調理の習得、トイレ処理の方法を覚えることなどに加え、家具転倒やガラス飛散の予防措置を講じることを勧めた。

 釜石さんは「HUGの取り組みだけでなく、在宅避難できる人を増やすことが避難所の混乱を防ぐことにつながる」という。双方の企画に参加した区内の主婦(69)は「私はマンション住まい。震災時は在宅避難を前提に、避難所運営の手助けをしたい」と話していた。

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