廃校生かし地域活性化 持続可能な運営態勢が課題 長崎県南島原

 長崎県南島原市が児童減少のため廃校となった小学校の活用に力を入れている。校舎を交流拠点や誘致企業のオフィス、飲食スペースなどとして再生し、地域活性化を図る。県内でも“先進地”だが、資金面など課題もあり、市は持続的な態勢づくりを模索している。

 県教委によると、「平成の大合併」(1999~2010年)後の廃校数は、同市が17で最多。長崎市が13、対馬市11、五島市10、新上五島町7と続く。校庭を農園にした西海市の旧大島東小などの例はあるものの、ほとんどの市町が手付かずという。

 旧南高8町が合併し南島原市が誕生した06年時点の学校数は31。10年に策定した適正配置計画に基づき、21年度までに13校まで統廃合する予定だ。

 市は14年、副市長をトップとする利活用検討委員会を発足。地域住民の要望や市各部局の案を集約して活用方針を決める。住民の愛着が強い小学校の“求心力”を維持し、地域づくりに生かそうという狙いからだ。

 人口減少を抑え地方創生を目指す「市まち・ひと・しごと創生総合戦略」(15~19年度)でも「廃校を活用した新たな交流拠点の創出」を重要施策に掲げた。これまで10校を活用し「数も種類も県内で特に多い」(県教委)。4校は用途検討中で、2校は解体予定だ。

 市は「将来は住民だけで運営を持続できる態勢を整えたい」としている。課題は資金面。「カフェ」に利用している津波見(つばみ)小など3校は、集落活性化を支援する県の「小さな楽園プロジェクト」からそれぞれ約400万円の助成を受けているが本年度で終わる。新年度からは経済的“自立”が求められる。市内の観光地などへ訪れた客を、回遊させるためのPR強化など、具体的な対策が急がれる。

講堂がカフェとして利活用されている旧津波見小=南島原市加津佐町

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