金属行人(1月30日付)

 早いもので1月も終盤。主要な賀詞交換会や新年会もほぼ終わり、いよいよ年度末に向けて本格的にラストスパートの商売が始まる▼今年の賀詞交換会は皆一様に明るい雰囲気で、挨拶でも景気の良い話が多かった。一方で10年前の2008年、「鋼材市況10万円時代」に突入した途端にリーマン・ショックが起きた事例を引き合いに出し「周囲の雰囲気に一喜一憂することなく、慎重に」と過去の教訓を促す見方もあった▼現況の捉え方は、扱い品種や用途分野によっても異なるようだ。最終製品に近い鋼管類や軽量形鋼などのフォーミング製品では、新年会などで現場サイドの話を聞くと「周囲が騒ぐほどの好況感はまだ感じられない」との声も多く聞かれた。メーカーの強気な値上げ姿勢に対して、二三次流通の価格転嫁は一般形鋼類などに比べて遅れ気味だ▼20年前の1998年、日本は長野オリンピックに沸いていた。同時に、タイから始まったアジア通貨危機の本格的な影響が出始めた年でもある▼同じオリンピックイヤーの今年、米トランプ政権の政策や北朝鮮動向など大きな不確定要素がある中、平昌オリンピックの後には鋼材流通にとってどのようなマーケット環境が待っているのだろうか。

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