500人投入、振り込め防ぐ 神奈川県警私服警官配置へ

 キャッシュカードをだまし取る振り込め詐欺が多発している現状を受け、神奈川県警は29日、不審電話が集中している地域に所属部署を横断して組織した私服警察官約500人を連日配置し、カードの受け取り役や現金の引き出し役の摘発強化に乗り出した。捜査員を大量動員することで素早い摘発に結び付けるのはもちろん、犯行グループのけん制、発生抑止にもつなげたい考えだ。

 県警特殊詐欺撲滅対策推進本部によると、住宅街や無人の現金自動預払機(ATM)周辺で、不審者に対し積極的に職務質問するなどし、犯行グループの一員をその場で取り押さえるのが狙い。電話は特定の地域にかかってくるケースが多く、県警が傾向を分析して私服警察官を投入する。

 2017年の1年間に県警が認知した特殊詐欺の件数は、2314件で過去最多。特に「キャッシュカード手渡し型」は前年の12倍に急増し、733件と全体の3割に達した。その半面で17年の摘発は175人にとどまっている。年が明けても認知件数はハイペースで推移しているという。

 こうした状況から、県警は、金融機関での声掛けなどによる被害防止活動の一方、摘発に重点を置いた取り組みが急務と判断。特殊詐欺事件の捜査や抑止を担う刑事部や生活安全部だけにとどまらず、全部署の警察官が対策に当たる。

 犯行グループは、警察官や金融庁職員をかたり「あなたのキャッシュカードが悪用されている」などと不安をあおり、数時間のうちにカードをだまし取って現金を引き出す。同本部は「カード手渡し型は交通の便がいい首都圏で急増している。傾向を見極めて抑止と摘発を両輪で進めたい」と話している。

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