ブルーイノベーションが業務資本提携 ロボット制御によるソリューションを強化  ブルーイノベーション株式会社は、ビルメンテナンスの大成株式会社と、投資ファンドを引受先に,、第三者割当増資を実施したと発表した。投資ファンドに関わる国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、大成とは業務提携も締結。一連の資本業務提携を機に今後はドローンを含め複数のロボット制御によるサービスに力を入れる。

大成、けいはんなATRファンドを引受先に第三者割当増資

 発表は1月24日、都内に構えたブルーイノベーションの新社屋で開催された。ブルーイノベーションの熊田貴之社長、熊田雅之専務、那須隆志取締役、大成の加藤憲博専務、ATRの坂野寿和事業開発室担当部長が出席ら関係する幹部が出席した。発表会では資本提携、業務提携の概要と、ブルーイノベーションの2018年の事業構想が披露された。
 資本提携、業務提携について熊田貴之社長が、「ブルーイノベーションは大成、けいはんな学研年ATRベンチャーNVCC投資事業有限責任組合(けいはんなATRファンド)を引受先とする第三者割当増資を実施した」と発表した。けいはんなATRファンドは、日本ベンチャーキャピタル株式会社(東京)が、ATRの持つ技術の事業化を目的に、2015年2月に設立したファンドで、産業革新機構、新生銀行、住友電気工業などが出資している。これによる調達額については非公表だ。

発表会に登壇した(左から)大成の加藤憲博専務、ブルーイノベーションの熊田貴之、ATRの坂野寿和担当部長=1月24日、東京都文京区本郷のブルーイノベーション本社

オフィス巡回の健康管理システム「T-FREND」は警備に応用へ 他の用途の問い合わせも

 ブルーイノベーションは、第三者割当増資の実施を機に、大成と共同で進めているオフィス内自動飛行ドローンシステム「T-FREND」のサービス開発を加速させる。またATRとは、今後、ブルーイノベーションのサービスの技術基盤となる「ブルーアースプラットフォーム」(BEP)の開発について協力しあう考えだ
 T-FRENDのサービス開発について、大成の加藤専務は「労働集約型産業のビルメンテナンス業界は人材確保に苦しんでいる。人が行ってきたサービスを、人とロボットのハイブリッドにしたい。T-FRENDもゆくゆくは巡回警備への活用を考えたい。昨年末に発表して以来、問い合わせも多く、ほかの用途で活用したいとの要望も受けている。ターゲットの拡大も検討したい」と述べた。
 ATRの坂野担当部長は、「ATRは脳情報科学、ライフサポート、生命科学、無線通信などの基礎研究を積み重ねてきた。こうした研究成果を世の中に形として出して行きたいと考えているときに、けいはんなATRファンドができ、ブルーイノベーションとも縁があった。研究してきたことを活用するなどして、今後連携を深めていきたい」と話した。

2027ビジョンは「ドローン・ロボットで貢献するグローバルカンパニー」

 またブルーイノベーションは、資本業務提携の概要とは別に、2018年の事業構想についても説明、新たな経営理念も発表した。
 この日初めて披露された経営理念は、「新しい発想(アイデア)、創造・技術革新(イノベーション)によって、世界中の人々に安心、安全、便利、楽しさを提供し、人々の豊かな生活の実現に貢献する」で、熊田貴之社長は「わたしたちにとって大変重要な考え方の基本」と述べた。
 同時に今後10年間を展望したビジョンを「2027ビジョン」として発表。内容は「ドローン・ロボットを通じて世界に貢献するグローバルカンパニーになる」で、これまでドローンを大きなキーワードとしていた姿勢を、拡大する意欲を示した。

BEPは「One Command Full Mission」

 2018年の事業は、複数のドローン、ロボットを自動、遠隔で制御して統合管理するためのプラットフォーム(=ブルーアースプラットフォーム、BEP)を中心に、点検、警備、物流、教育、イベント・エンタメの5領域を策定。ベースとなるBEPについて、熊田雅之専務は「One Command Full MissionをキーワードにATRと開発を進めている。サービスをご利用頂くお客様がひとつの指示、ひとつの操作で、複数のドローンが各自のタスクを実行し、ひとつの大きな成果を得る、そんなサービスを提供したい」と説明した。
 BEPは主にGround(情報統合管理システム)、Thousand Leaf(ドローン<ロボット>・サーバー通信システム)、Firefly(自己位置推定システム)、 Zarafa(ドローン<ロボット>操縦システム)の4本柱で構成することが公表された。熊田雅之専務は「例えて言えば、最適化された金型をたくさん備えているようなもの。お客さまの求めるサービスに最適な組み合わせを提案し、ご期待にそうサービスを提供したい」と展望した。
 これを使ったサービスについて、那須取締役は、ドローンが屋内を飛行し汚れている箇所を発見したら、位置情報をBEPを介して掃除ロボットに掃除の指示を出す、などを紹介。「機械単体の開発が注目されがちだが、今後はロボット間の連携が重要になる。それをBEPを活用して実現していく」と説明した。
 今後のビジネスの流れとして、「ドローンをお求めのお客様の中には、ドローンを使って解決したい課題をお持ちの方がいらっしゃる。われわれはコンサルティングや、システム開発、プロジェクトマネジメント、場合によってはパイロットのサービスを組み合わせて是対としてソリューションを提供するサービスを展開していきたい」とまとめた。

説明するブルーイノベーションの熊田雅之専務
説明するブルーイノベーションの那須隆志取締役

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