観光客誘致へ藤沢の魅力発掘 市外国人市民会議

 2020年東京五輪・パラリンピックに向けて国内外から観光客を呼び込もうと、江の島が五輪セーリング競技開催地となる藤沢市で、街の新たな魅力を発掘する活動が始まっている。その中心を担っているのが外国籍の市民らでつくる「藤沢市外国人市民会議」。海外にルーツを持つ面々は自分たちの視点を生かしてもらおうと先月、市内北部を視察、観光スポットを探りながら提言もした。

 野菜畑の先にそびえ立つ富士山に何度もカメラのレンズを向け、農園ではトマトの栽培方法などに熱心に耳を傾ける。年が明けた1月13日、同会議のメンバーは寺社、バラ園など市内北部の計7カ所に足を運んだ。初めての開催となった視察の目的は、楽しむことだけではない。

 「日本人の視点では見逃されている藤沢の魅力を発見できるかもしれない。私たちの感性を生かせることができればうれしい」。同会議の一員で、同市の多文化共生・都市親善推進員を務める韓国人の崔英善(チェヨンサン)さん(50)は狙いをこう語る。

 実際に今回の視察では多くの意見が出た。

 ドイツから同市に移り住んだ藤・ツェルナー・エルフリーデさん(51)は「日本の固有文化に興味がある外国人は多い。お参りの順番や仕方を教えてくれたら、もっと楽しめる」と指摘。他の参加者からも「日本語を読み書きできる人は少ない。案内図やレストランメニューの説明がほしい」「ワークショップや体験型イベントがあることで、もっと藤沢を身近に感じられるのでは」との声が上がった。

 同会議は12年に発足し、現在は外国籍や海外にルーツのある市民20人が活動する。多文化共生と国際交流を進めるため、年6回会議を開催。市への提言もしている。

 観光スポットなどを巡る視察も活動の一環。メンバーの意見をまとめて、市の担当課に伝えるという。

 市観光シティプロモーション課はこうした動きを歓迎。担当者は「日本では話題にならなくても、外国人観光客の間で人気になることもある。何がヒットするか分からず、外国にルーツを持つ皆さんから幅広い意見をもらえることはありがたい」と話す。

 市によると、2016年の市内観光客数は1864万8千人。10年前に比べると500万人以上増えている。市は地元での五輪競技開催は「藤沢を国内外に発信する大きなチャンス」とし、20年は2千万人超を目標値に掲げている。

© 株式会社神奈川新聞社