WTCR:2台のシビックTCR参戦決定。シリーズ発足初年度は26台フルグリッドのエントリー

 TCRのベネルクス・シリーズなどを主戦場に活動を続けてきたベルギーのブーツェン・ジニヨン・レーシングが、2018年創設のWTCRワールド・ツーリングカー・カップに、FK8型のホンダ・シビック・タイプR・TCRで参戦するとアナウンスした。

 地元ベルギー出身の元F1ドライバー、ティエリー・ブーツェンも設立に参画したこのチームは、2016年と17年にステファン・ラムレ、ベンジャミン・レセンスの手によりTCRベネルクスで連覇を達成。

 さらにトム・コロネルやオーレリアン・パニスを擁して2017年のTCRインターナショナル・シリーズにもスポット参戦し、パニスはタイ戦のレース2でチーム初勝利も飾っている。

 今回のWTCR参戦発表に際し、チームマネージャーのオリビエ・レインは「この新たな決断は、我々のチームにとって最大のチャレンジになるだろう」と語った。

「FIA WTCRに向け新たな冒険を始めることができて非常に喜んでいる。この2年間の大いなる成功を受け、この先もホンダとの強力な関係を継続することは、とても理にかなっていると思う。この新型シビック・タイプR・TCRとともに最初のテストを始める日を楽しみにしている」とレイン。

 ブーツェン・ジニヨン・レーシングとしては、初年度のWTCRに2台のマシンを送り込む予定だが、そのドライバー選定に関しては追って明らかにする予定だという。

 また、1月31日をもって2018年フルシーズンエントリーの募集を締め切ったWTCRは、栄えある初年度に26台フルグリッドのエントラントが集った、と明かした。

 これは前身であるTCRインターナショナル・シリーズで年間全戦にエントリーした台数の16台を大きく上回る数字となっており、さらに各イベントごとに2台のワイルドカード枠を新たに用意したこともアナウンスされている。

 ユーロスポーツ・イベント代表でWTCRプロモーターを務めるフランソワ・リベイロは、このエントリー状況を受けてWTCC世界ツーリングカー選手権に置き換わるこの世界的シリーズが、必ず大きな成功を手にすると自信を深めている。

「昨年12月、FIAのWMSC世界モータースポーツ評議会の会合を経て、WTCCとTCRインターナショナルを統合しWTCRを発足すると発表して以降、世界中で1000以上の記事が生み出された」とリベイロ。

「その瞬間から、我々はこの新しいWTCRというシリーズへの期待値と興味が非常に高いということを確信していた」

「すでに多くの企業やマニュファクチャラーが2018年の予算計画を確定させていた時期に、我々は2カ月という短期間でグリッドを埋める努力をする必要があった。それでも、ユーロスポーツ・イベントとFIAは、量より質を優先するという明確な目標を共有していた」

「WTCCとTCRインターナショナルという偉大なツーリングカー・チャンピオンシップが同じ傘の下で組み合わさり、WTCRの名の元に最高の品質のグリッドを維持し、世界中のツーリングカーファンにレースの興奮を提供することが可能となり、本当にうれしい」

「WTCRの全10戦に対し、我々は2枠のワイルドカード参戦スロットも用意した。各国のシリーズ上位ランカーやゲストドライバー起用などを含め、新しいシリーズへの関心をさらに高め、才能を発掘する場として機能することを願っている」

 詳細なエントリーリストは同時に明かされていないものの、すでにチーム単位でいくつかの強豪がエントリーを表明。

 昨季までTCRインターナショナルにアウディRS3 LMSで参戦していたコム・トゥ・ユー・レーシングは、デニス・デュポンとオーレリアン・パニスの起用を発表。さらにイギリスのBRCレーシングは新型マシンとなるヒュンダイ・i30 N TCRを投入し、開発ドライバーのガブリエル・タルキーニのチームメイトに、WTCCでホンダ・ワークスに所属したノルベルト・ミケリスを招聘。これで少なくとも、アウディ、ヒュンダイ、ホンダの各2台ずつの参戦が決まったことになる。

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