横須賀発電所建て替え 事業者が住民説明会 周辺環境への配慮示す 横須賀市

撤去作業が進む横須賀火力発電所

 久里浜にある横須賀火力発電所が最新鋭の石炭火力設備に更新され、2023年の運転開始を目指す計画が進んでいる。同計画の事業者で、東京電力のグループ会社と中部電力が共同出資する株式会社JERAは先月30日、建設に伴う周辺環境への影響について住民説明会を開いた。

 説明会では、事業者が住民に対し計画の概要と環境に与える影響について解説。最新鋭の排ガス装置や敷地内に環境に配慮した緑地を整備することなどを説明した。

 同計画は既設の全8機を撤去し、新たに石炭火力発電設備2基を建設するもの。燃料費の削減や環境への配慮、石油エネルギー依存へのリスク回避を目的としている。現在撤去工事が行われており、今後の見通しについては新1号機が2023年、2号機が24年の運転開始を目指しているという。

 同所は1960年に石炭火力発電所として運転を開始。72年以降は燃料を重油・石油に切り替え、半世紀にわたり首都圏への電力の安定供給を支えてきた。その後、施設の老朽化に伴い2010年から全機長期計画停止。東日本大震災の影響により11年4月に一部発電設備の運転を急遽再開するも、17年3月に全機廃止となっていた。

「石炭火力 時代に逆行」

 発電所等、大規模な事業を実施するにあたっては、環境に与える影響を事前に評価する「環境影響評価準備書」の作成が必要となっている。ヴェルクよこすかで開かれた説明会には、地元住民ら200人が参加。事業者が準備書に沿って、環境に与える影響を説明。住民らの関心が高い排出ガスについては、最新鋭の設備によって煙に含まれる有害物質「硫黄酸化物」や「窒素酸化物」を従来の施設に比べ約5分の1以下に抑えられる見通しを示した。

温暖化に懸念

 質疑応答の時間には、温暖化への影響に関する懸念の声が多く上がった。「パリ協定の締結など、世界が脱石炭に向かっている中で、温暖化対策に逆行するのではないか」「なぜ天然ガスにしないのか」などの意見があった。

 これに対し同社は、石炭を燃料として選択した理由について事業者は「天然ガスの場合、大規模なガス管工事や輸送受け入れ施設等が必要」とし「既存設備を最大限生かした合理的な選択」と述べた。

 市民団体「横須賀火力発電所建設を考える会」の鈴木陸郎代表は「住民に対してわかりやすく説明することが目的。不十分だったように思う」と話した。

 同社は4日(日)にも午後1時半から、久里浜コミュニティセンターで第2回の説明会を開く。なお、準備書は、市役所や浦賀、久里浜行政センターなどの他、同社のホームページでも閲覧可能。計画に対する意見は3月5日(月)まで受け付け、住民意見として経産省へ提出される。

約200人が集まった住民説明会

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