「第九初演100年」に関連した行事を支援 外務省

 ベートーベンの「交響曲第九番」のアジア初演から今年が100年の節目となるのを記念し、外務省が、日本とベートーベンの母国ドイツで開かれる関連行事の支援に乗り出した。文化交流を活性化させ、日独の関係強化につなげる考えだ。

 第九は、第1次世界大戦中の1918年6月、鳴門市にあった板東俘虜(ふりょ)収容所で捕虜となったドイツ兵がアジアで初めて全曲を演奏したとされる。ドイツ兵は、地元の人々に畜産や製パンの技術を指導し、地域との交流も盛んだった。

 こうした歴史を踏まえ、外務省は今年を「DAIKU2018」と位置付け、関連行事などを支援する。既にイベントなどに使えるロゴマークの作成に着手し、近く発表。対象行事の募集を始める。

 外務省では6月に鳴門市で開かれる演奏会などを積極的に広報して、成功を後押しする。収容所所長として捕虜を人道的に扱った松江豊寿氏の出身地、福島県会津若松市でも9月に演奏会が行われる予定だ。

 河野太郎外相は「第九は日本で歌い継がれ、人類の共生や世界平和の理念と共に広く普及した」と述べ、記念の年を盛り上げる意義を強調した。

 鳴門市市民環境部の小椋勝参事は「鳴門市がブランド化に取り組んできた第九が日本の宝として認められ、国を挙げて演奏会を広報してもらえるのは大変ありがたい」と話している。

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