メクル第245号 長崎県育ちの救助犬 佐世保のジャパン使役犬活動センター

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 使役犬(しえきけん)って知ってる? 人のためになる犬のこと。警察(けいさつ)犬や捜索(そうさく)犬、災害(さいがい)救助犬、セラピー犬、パトロール犬がいます。約70頭が登録する佐世保(させぼ)市指方(さしかた)町の「ジャパン使役犬活動センター」(JSK(ジェシカ))=松尾晴美(まつおはるみ)理事長=では、使役犬として活躍(かつやく)できるよう訓練をしています。今回、センターの様子や災害救助犬について取材。飼(か)い犬から、訓練をへて成長したワンちゃんにも会ってきました。 

捜索訓練にあたる災害救助犬のリビアと松尾さん=佐世保市内

 JSKは、松尾警察(まつおけいさつ)犬訓練所代表の松尾晴美(まつおはるみ)さん(44)が開きました。

 同訓練所では、行方不明者の捜索(そうさく)の際(さい)に警察から依頼(いらい)を受け、警察官と訓練所スタッフ、訓練所の嘱託(しょくたく)警察犬がいっしょに出動していますが、捜索の期日はかぎられます。「不安な家族のため、その後も自分たちが捜(さが)しに行ける手はないか」-。そんな思いをかかえていたころ、2011年3月11日、東日本大震災(しんさい)が発生。犬といっしょに被災地(ひさいち)へ行き、災害救助犬の必要性(せい)も感じたことから、2012年にJSKを設立(せつりつ)しました。

 「たくさんの犬で捜せば可能性(かのうせい)は広がる」と、一般(いっぱん)家庭の飼(か)い犬を訓練し、捜索犬として登録(とうろく)。全国でもめずらしい方法です。

◎豪雨(ごうう)被災地(ひさいち)へ出動

 現在(げんざい)、災害救助犬はJSK所属(しょぞく)と、JSKに登録している飼い犬を合わせて約30頭います。6人の指導士(しどうし)が週2回訓練。犬の集中力が続く1時間、穴(あな)や岩場などにかくれたスタッフを見つける練習をくり返します。

 1月のある日の訓練。「捜せ!」。松尾さんの

指示(しじ)に、災害救助犬「リビア」が雑木林(ぞうきばやし)へ走りだしました。生いしげる草木を分け、スタッフを発見。「よく見つけたね」。捜し当てたリビアを、松尾さんはたくさんほめていました。

 昨年7月には、九州北部豪雨(ごうう)の被災地へ計3回、災害救助犬のべ13頭が出動。行方不明者の捜索にあたりました。

昨年7月に九州北部豪雨災害の現場を捜索する災害救助犬=福岡県朝倉市杷木地区(JSK提供)

◎どんな犬もなれる

 人命救助をする犬とは、どんな犬なのでしょう。JSKに登録している犬には、シェパードやラブラドルレトリバーといった大型犬のほか、柴犬(しばいぬ)や雑種(ざっしゅ)(ミックス犬)もいます。松尾さんによると、好奇心旺盛(こうきしんおうせい)なら、どんな犬でも訓練すればなれるそうです。

 昨年、保健所(ほけんじょ)から引き取った雑種の「あんこ」は最初、人をこわがっていましたが、訓練をへて、災害救助犬とともにセラピー犬(人の心をいやすための犬)としても活躍(かつやく)しています。

 ただ、捜索や訓練、育成などはボランティア。JSKの運営(うんえい)は、人手不足や資金(しきん)不足といった課題があり、長崎、佐世保両市での募金活動や、しつけ教室の代金でまかなっているそうです。余裕(よゆう)はありませんが、松尾さんの言葉は力強い。

 「長崎県民のみなさんがこの犬たちを育ててくれた。これからも、いざというときのそなえになりたい」