戦国期の遺構見学会 小田原

 文化財への理解を深めようと、小田原市は3日、再開発事業に伴う発掘調査が進められている小田原駅東口お城通り地区の「日向屋敷跡第I地点」(小田原市栄町)で見学会を開催した。市民ら約500人が参加、戦国時代の生活の跡を間近で観察した。

 市文化財課によると、日向屋敷の遺跡名は小田原城主大久保忠隣が1614年に改易後、妻の日向御前が隠居のために暮らした屋敷が立っていたという伝承に由来する。一帯は江戸時代の間、一貫して武家屋敷地だったという。

 発掘調査は2016年5月に開始され、江戸時代の陶器や井戸を発見。17年度には、さらに下層で戦国時代の遺構群が発見され、見学会では同所で発掘調査を行う「玉川文化財研究所」(横浜市神奈川区)社員らが各遺構、出土品について解説した。

 戦国時代当時の立ち木や砂利が「パックされた状態」でそのまま発見された建物遺構や、井戸から重なって完全な形で出土した中国・明製の「白磁菊皿」など、参加者は熱心に観察しながら説明に聞き入った。小田原市に住む豊住朝子さん(72)は「おわん、くしなど、戦国時代に普段の暮らしに使われていた物を近くで見られて楽しかった」と笑顔で話した。

 同地区ではことし3月に調査を終え、記録後には土を戻す予定という。

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