見送り一転 両親のDNA採取 徳島県警、29年前の男児不明

 1月31日にテレビ番組で身元不明者として紹介された男性が29年前に徳島県貞光町(現つるぎ町)で失踪した松岡伸矢(しんや)ちゃん=当時(4)=に似ているとの情報が寄せられたものの、男性の身元につながる別の有力情報が提供されたことを理由に、伸矢ちゃんの両親のDNAの採取を見送っていた徳島県警が3日、一転して両親のDNAを採取したことが関係者への取材で分かった。近く鑑定結果が判明するとみられる。

 関係者によると、3日、県警が伸矢ちゃんの父正伸さん(60)=茨城県牛久市=に連絡し、再びDNA採取への協力を要請。了承が得られたため、捜査員3人が自宅を訪問した。

 伸矢ちゃんの両親は、綿棒状の道具で口内をこすってDNAを採取し、捜査員が道具を持ち帰った。

 県警は2日、男性が伸矢ちゃんとは別人であると判断し、両親にDNA採取を見送ると伝えていた。県警は方針を変更した理由を明らかにしていない。

 正伸さんは徳島新聞の取材に「県警からは、男性の身元につながる他の有力情報が判然とする前に鑑定することを決めたと聞いた」と話した。

 テレビ番組で紹介された男性(推定25歳)は、4〜21歳ごろの間、知らない男性に軟禁され、両親の記憶はないという。番組によると、2014年7月、愛知県弥富市のショッピングセンターのトイレで意識不明の状態で見つかった。

 伸矢ちゃんは牛久市の自宅からつるぎ町貞光の親類宅を訪れていた1989年3月7日朝、両親が40秒ほど目を離した間に行方が分からなくなった。

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