松坂加入で活況に沸く中日の沖縄キャンプ 新助っ人たちも面白い

中日の新外国人ジー(左)とガルシア【写真:荒川祐史】

メジャー通算51勝の右腕ジーら4選手が加わった

 2月1日に一斉にキャンプがスタートしたプロ野球界。沖縄、宮崎、アメリカのアリゾナ州とそれぞれの地で、12球団がシーズンに向けて動き出した。その中でも、1、2を争う注目度を集めているのが、沖縄・北谷公園野球場。中日ドラゴンズのキャンプ地だ。

 その注目の的となっているのは、もちろん松坂大輔投手である。ソフトバンクを退団し、テストを経て入団した平成の怪物の一挙手一投足にメディアも、ファンも熱い視線を送り、松坂が動けば、人が動く状況となっている。初日は2000人、2日目は3000人、初の土曜日となった3日目は曇り空、冷たい風が吹く寒さの中となったが、5000人がキャンプ地に来場し、活況となっている。

 松坂が脚光を浴びている、今回のキャンプ。それは仕方ない。横浜高校時代から注目され、甲子園春夏連覇、PL学園高との延長17回の死闘、夏の甲子園決勝でのノーヒットノーラン、プロでもルーキーで最多勝を獲得し、数々のタイトルに輝いた。第1回、第2回のWBCで2大会連続優勝し、2大会連続MVPに。レッドソックスではワールドシリーズ制覇を成し遂げている。これまでに数々の実績を残してきた選手だけに、注目が集まるのは当然だ。

 ただ、中日は松坂だけじゃない。魅力がないチームだとは思わない。チームの中心を担う、投手で言えば、田島慎二や又吉克樹、野手ならば大島洋平や昨季新人王に輝いた京田陽太などは、球界でも屈指の選手だ。小笠原慎之介や鈴木翔太、今季のドラフト1位の鈴木博志、同2位の石川翔といった将来、日本を代表する選手になれる素質を持った選手もいる。さらに言えば、岩瀬仁紀、荒木雅博といった偉大なベテランも。5年連続Bクラスと低迷していることもあり、世に知れていないという部分もあるのではないか。

 そして、2018年。中日の新助っ人も、なかなか面白そうだ。残留したダヤン・ビシエド内野手に加え、今季はメジャー通算51勝の実績を誇るディロン・ジー投手、オネルキ・ガルシア投手、ソイロ・アルモンテ外野手、スティーブン・モヤ外野手の4人がチームに新たに入団した。

ジーはMLB165試合で1試合平均四球1.6個、アルモンテ&モヤはスイッチヒッター

 先発ローテの中心として期待されるジー。メッツ時代に2度の2桁勝利を達成し、2016年にもロイヤルズで8勝をマークしている。レンジャーズ、ツインズに所属した昨季は結果が伴わなかったものの、実績は十分だ。3日にキャンプで初めてブルペン入りすると、捕手の構えたミットにしっかりとコントロールされたボールを投げ込んでいた。メジャーでは165登板(128先発)で268四球。1試合平均で四球は2個に満たない1.6個と、制球力の良さが伺える。

「マウンドは少し柔らかいし、角度はアメリカほどはない。ボールの違いはさほど感じない」と初ブルペンの感触を口にしていた右腕だが、アジャストには自信を感じさせた。角度がないと言いながらも、低めに制球出来ていたところを見ると、期待が膨らむ。

 ガルシアはキューバ出身で、アメリカへと亡命した左腕。メジャー通算5試合に登板している。左腕も3日に初めてブルペン入り。ストレートに、スライダーやシンカーを交えて32球を投げた。過去の実績からも、その力はまだ未知数ではあるが、キャンプ中は存在感を発揮。髪型はモヒカンで、髪が長くなっている部分だけが金髪という奇抜なスタイル。キャラクターも明るく、ランニング中には、走っている選手に声援を送るなど、チームの空気を明るくさせている。

 アルモンテとモヤは、ともにスイッチヒッター。両外国人野手がともにスイッチヒッターという時点で、もう珍しいではないか。

 ドミニカ共和国出身のアルモンテはメジャーでは2本塁打だが、3A通算59本塁打。2016年に20本塁打、2017年は15本塁打を放っている長距離砲である。キャンプのフリー打撃では小さなステップからの力強いスイングで柵越え連発、場外弾となる打球も数多くあり、破壊力は素晴らしい。

 モヤはプエルトリコ出身で、身長2メートルを超す。メジャー通算5本塁打、3A通算47本塁打(2017年は18本塁打)を放っている、こちらも大砲候補になる。アルモンテ同様にフリー打撃では左右両打席で柵越えを次々に放っている。

 外国人選手は蓋を開けてみないと分からないもの。シーズンになってみたら、サッパリだった、なんてこともザラにある。過度な期待は禁物ではあるが、2018年の中日の助っ人たちは、なかなか見ていて楽しい選手たちではないだろうか。

(Full-Count編集部)

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