知事「真摯におわび」 がんセンター問題で謝罪

 県立がんセンター(横浜市旭区)の放射線治療医が相次いで退職し、治療中のがん患者が他の医療機関に転院するなどの影響が生じた問題で、黒岩祐治知事は31日の定例会見で「迷惑を掛けた人がいる事実に対し、真摯(しんし)におわびを申し上げたい」と謝罪。がん患者に負担を強いることが二度とないよう、未来志向で医師確保に取り組む姿勢を示した。

 県によると、同病院の放射線治療部門は、問題発覚後の昨年12月から今年1月にかけて新規患者の受け入れを制限。同26日までの新規患者数は99人で、昨年度の同期に比べ125人減少した。また、重粒子線治療を受けていた患者4人が千葉県の専門施設に、放射線治療中の14人が近隣の医療機関に移ったという。

 知事は、がんと必死で闘っている患者に影響が及んだことに対し、「ご不便を掛けた方に本当に申し訳ない」と繰り返し謝罪。その上で、県民の命を最優先に考えたからこそ、県が医師確保に乗りだして2月以降の診療中断という「最悪の事態」を切り抜けた、との認識を示した。

 一方、受け入れ制限や転院の結果責任を問う考えはないとし、「過去のことではなく、がん患者の未来にしっかりと責任を果たしていく決意だ」と述べた。

 

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