【富山×岐阜】お祭りの華麗な曳山・屋台を堪能 風情ある町並みを楽しむ大人の女子旅④

こんにちは。チイキイロ編集部のモノづくり憧れ系女子 ツキミです。

富山県と岐阜県をまたいで風情ある町並みと地元グルメを楽しむ旅シリーズも、いよいよ最終回。今回は番外「お祭り編」として、旅する中で出会った長い歴史を持つ美しい4つのお祭りをご紹介します。

お祭りと言っても、高知よさこい祭りなど踊りがメインのもの、浅草三社祭などのお神輿を威勢よく担ぐもの、青森ねぶた祭など大きな山車が町を練り歩くものまで、日本には実にさまざまなものが存在しますよね。

ここでご紹介するお祭りはいずれも数百年前から続き、贅を尽くした絢爛豪華な山車が登場するお祭りです。

左から富山:城端曳山祭、越中八尾曳山祭、岐阜:古川祭、高山祭のもの

この豪華さ、写真から伝わりますでしょうか?!

ちなみに山車のことを富山県の城端(じょうはな)と八尾では「曳山(ひきやま)」、岐阜県の古川と高山では「屋台」と呼んでいます。これ、覚えておいてくださいね。

今回訪れたときはお祭り期間中ではなかったため、展示館で一部の曳山・屋台しか見られなかったのですが、それでもどのお祭りも「これは実際に生で体験してみなくちゃ!」と思うものばかり。中でもわたしが一番気になった富山県の城端曳山祭から順に、4つのお祭りのポイントをお伝えします。

1)富山県:変幻自在折りたたみ屋根?!『城端曳山祭』

絹織物で栄えた富山県南砺市(なんとし)城端で、毎年5月4日(宵祭り)・5日(本祭り)が行われる『城端曳山祭』。城端神明宮の例祭で、『城端神明宮祭の曳山行事』というのが正式名称です。2016年12月に「山・鉾・屋台行事」の1つとしてユネスコ無形文化遺産に登録されました。

御神輿、獅子舞、剱鉾、傘鉾、四神旗、そして城端曳山祭の特徴でもある庵屋台(いおりやたい)と曳山が続きます。曳山を出す町は6つ。各町に曳山と、曳山を先導する庵屋台があります。

■曳山の屋根が…!

並んでいると圧巻ですよね。画像一番前の背が低いものが庵屋台、その後ろに大きな屋根をのせた絢爛豪華な曳山が続きます。

ポイントは曳山の屋根。一見、特に変わった様子は見受けられないのですが、巡行中に細い通りにくると、こんなふうになるんです。

なんと、曳山の屋根が折りたたまれています! 練り歩いている最中に屋根を折りたたむだなんて、初めて見ました。もう一度先ほどの画像を見てみましょう。

屋根をよーく見ると、確かに切れ目が入っています。大工町にあるこの細い道では、曳山が通る時に両脇の家にぶつかってしまう危険があります。どうしても細い道を通るために、屋根を折りたためるように曳山を進化させてしまったんですね。なかなかハイテクです。

曳山の上部に乗っている人が、この細い通りに差し掛かる時に手で屋根を上に押し上げ、家に接触しないように体や手でも家を避けながら通り抜けます。屋根がスルっとスライドするタイプもあるようです。間違いなく城端曳山祭の見所の1つ。これは絶対に見たい!

城端の曳山はとても重く1台約7トン! そのため動くたびにギュウギュウすごい音がするのでギュウ山」とも呼ばれます。曳山が通るいたる所に車輪の跡がしっかり残っています。

■他のお祭りにはない「庵屋台」

城端曳山祭のもうひとつの特徴が庵屋台。庵屋台の下側、水引幕が張られた部分に紋付袴姿の若連中と呼ばれる人々が入り、笛や三味線の演奏にのせた庵唄(いおりうた)を唄います。京都・祇園の一力茶屋などを模したといわれ、彫刻など非常に繊細な細工が施されたその姿は、とてもしっとりと優美。

庵屋台には車輪がついて曳かれているので、てっきり若連中の方々は布で覆われた内側で座っているのかと思ったのですが、庵屋台の動きに合わせて歩いて進むのだそうです。曳山は屋根を折りたたむハイテク!なのに、庵屋台はローテク? このギャップがおもしろいです。

地元の方は事前に希望し、自宅前に庵屋台を止めてもらい庵唄を楽しむ、という風流な習慣も残っています。

■神様を家でお預かりする?!

城端曳山祭の曳山は、6台すべてに御神像を乗せています。5月4日の宵祭りの夜、その御神像を各町の家でお預かりし、翌朝までお守りするのだそうです。お預かりする家は「山宿」と呼ばれ、御神像を「飾り山」としてみなさんにお披露目します。御神像は神様。触れてはいけません。

山宿になることは一生に一度、あるかないかの貴重な経験。重たい御神像は家に運び入れるのも一苦労。畳を変え、屏風などさまざまなものを準備し、お守りするために同じ部屋で神様と一晩を共にするなどかなり大変とのこと。でもきっと忘れられない思い出になりますよね。

5日の夜には、曳山と庵屋台は提灯をつけた姿に代わり、昼とはまた違った優美な表情を見せてくれます。

屋根が折りたたまれたり、神様を家にお泊めしたり、城端曳山祭には独特の文化が詰まっていました。

■城端曳山祭
http://www.tabi-nanto.jp/event/post_11.html
■城端曳山会館
http://www.tabi-nanto.jp/genre_see_04/post_53.html

同じ富山県でも、八尾のお祭りはまた少し違っています。

2)富山県:カラフル彫刻が盛り盛り!『越中八尾曳山祭』

富山県富山市八尾町では、毎年5月3日に『越中八尾曳山祭』が行われます。八尾八幡社の春の例祭の一環です。御神像を乗せた6つの町の6つの曳山は神聖なものとして扱われ、雄雌2体の獅子が御神輿と曳山の行く先を清めながら進みます。

二層式で上部に御神像をのせているのは、先ほどの城端の曳山と同じですね。曳山は神様を乗せるとても神聖なものとして扱われています。その証拠に、曳山が置かれている展示館でも、展示ガラスの上部には結界を示すしめ縄が張り巡らされていました。

八尾では養蚕や和紙などで財力を持った町人たちの文化が花開き、例祭を盛り上げるための出し物として曳山が華やかに発展したといわれています。6つの町で競い合っていったんですね。

■井波彫刻がたっぷり

越中八尾の曳山には地元富山の伝統工芸、城端の漆や高岡の彫金などが装飾や金具にふんだんに使われています。でもなんといっても注目したいのはカラフルで豪華に仕上げられた盛りだくさんの彫刻! ほとんどが井波彫刻です。彫刻山と呼ばれてしまうほど、大きいものから小さいものまで1つの曳山に所狭しと飾られています。

彫刻には必ず鮮やかな色がつけられているのも八尾の曳山の特徴的なところ。下地にはすべて金が貼られていて、お祭りの時に外で太陽にあたると、その輝きがすごいのだそうです。これはぜひ外を練り歩く姿を見たいですね。見えないところにまで気を使う粋なこだわり。

■夜には大胆なお色直し!提灯がたっぷり

と、こんなにすごい井波彫刻がたくさん飾られているので、井波彫刻がメインなのかと思いきや、なんと夜には姿が一変。彫刻をぜーんぶ取って、前後左右の四面をすべて提灯につけかえます。

左が夜仕様の提灯山。提灯をちょっと飾るというより、提灯だらけ! 提灯の数、曳山1台で450~500個にもなるそう。こんなに提灯に覆われた曳山姿も珍しいのではないでしょうか。

同じ富山県での「曳山祭」といっても、曳山の飾りは城端と八尾で随分違いましたね。さて岐阜県ではどうでしょうか。次は岐阜県飛騨古川のお祭りを見ていきましょう。

■越中八尾曳山祭
http://www.info-toyama.com/event/10003/
■越中八尾観光会館(曳山展示館)
http://www.yatsuo.net/kankou/KAIKAN/

3)岐阜県:猛々しさと優雅さ 2つの顔を持つ『古川祭』

岐阜に移ってまずは飛騨古川の『古川祭』。気多若宮神社の例祭として400年以上続いてきた伝統ある神事です。御神輿行列、起し太鼓、屋台行列からなるお祭りで、毎年4月19日・20日に行われます。このお祭りも「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録された1つ。

■動の「起し太鼓」:太鼓をめぐる裸男たちの激しい攻防戦

お祭りの1日目、4月19日の夜に行われる「起し太鼓」がなんといっても古川祭のポイントではないでしょうか。さらしを巻いた男たちが繰り広げる激しくも神聖な行事です。

木で作られた櫓に置かれた直径約80cmの大太鼓を打つのは「太鼓打ち」。二人が背中合わせに大太鼓の上に座り、バチを持った両手を持ち上げた状態から、一人ずつエイッと大太鼓を叩き、みんなの注目を一身に集めます。一生に一度選ばれるかどうかというとても貴重な機会で大変名誉なお役目なのだそう。

また、「付け太鼓」と呼ばれる小さな太鼓がついた木の長い棒を大勢の男達が担ぎ、櫓に我先につけるよう町の威信をかけて次々に突っ込んでいく、という激しく勇ましい戦いも繰り広げられます

■静の「屋台行列」:飛騨の匠の技による

同じ古川祭の中でも、起し太鼓とは対照的に静かに曳く屋台もあります。古川祭の屋台は9台。飛騨の匠の技をふんだんに取り込みどれも非常に麗しい姿。

造りは二層構造ですが、富山の曳山と違い大きな御神像は乗せません。
9台の屋台のうち2台にはからくり人形が仕込まれ、「からくり奉納」を行います。

これは飛騨古川まつり会館で見た、からくり人形の紐部分。簡易版なので紐は8本でしたが、実際の屋台からくり人形の紐は21本で、8人が手動であやつるのだそうです。からくり奉納中、あやつっている人は見学者からは見えません。人形があまり見えない場所から全員で息を合わせて紐をあやつるなんてすごい技ですよね。

白虎台という屋台では、子供が歌舞伎を奉納します。お祭りに子供も巻き込むことで、お祭りを継承していく知恵なのでしょうね。

夜にはこちらも屋台に提灯が下げられて、厳かに町の中を巡ります。提灯といえば、古川の町を歩いていると、道路脇に四角く小さく切った部分があります。これは、お祭りの時に道路に提灯を差し込むためのものだと、飛騨古川でお願いしたガイドさんが教えてくれました。

■古川祭
https://www.hida-kankou.jp/event/1313/
■飛騨古川まつり会館
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4)岐阜県:春秋2回煌びやかな屋台が町を彩る『高山祭』](http://www.okosidaiko.com%2C%!(NOVERB%29

[■春の高山祭 ](http://www.okosidaiko.com%2C%!(NOVERB%29

http://kankou.city.takayama.lg.jp/2000002/2000024/2001064.html
■秋の高山祭
http://kankou.city.takayama.lg.jp/2000002/2000024/2001386.html
■高山祭屋台会館
http://www.hidahachimangu.jp/yataikaikan/welcome.html

子供の頃から技を磨きお祭りに備える

4つのお祭りについて見てきましたが、どのお祭りにも唄や演奏はつきもの。曳山・屋台の展示館でお祭りの映像を見ていると、演奏がとても魅力的なのです。「子供の時からお祭りで触れて馴染みがあるし、子供の時から学校でも練習するからね。」と地元の方が教えてくれました。

お祭りを長く続けていくには、曳山や屋台などを修理しながら大切に残すだけでなく、人の中にもしっかりと残していくことが大切なんですね。こんなに素敵なお祭りがある町に生まれた人のことが、とてもうらやましくなりました。

さて、気になるお祭りはありましたか?町ごとに競いながら技術を高め合い、美しさ・豪華さに磨きをかけてきた曳山・屋台のあるお祭り。それぞれ違って、どれも思わず息をのむほど美しく素晴らしいものでした。今度はぜひ生で体験してみたい!と思います。みなさんも現地でこの迫力と空気感を堪能してみませんか?他にも富山には高岡御車山祭、岐阜には大垣祭とまだまだ魅力が潜む富山×岐阜、これからも目が離せません。

※富山と岐阜を巡る大人の旅シリーズはこちら↓
⇒【富山×岐阜】風情ある町並みを楽しむ大人の女子旅① 越中富山と飛騨古川
⇒【富山×岐阜】風情ある町並みを楽しむ大人の女子旅② 飛騨高山と城端
⇒【富山×岐阜】高岡の錫ぐい呑み作り体験記 風情ある町並みを楽しむ大人の女子旅③ 

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