「県民の思い 形に」中村さん圧勝3期目へ

 4日投開票された知事選は、現職の中村法道さん(67)が新人の原口敏彦さん(56)を大差で破り、3選を果たした。「夢をかたちに。」を掲げて戦った中村さん。当選後、「県民との連携を強化し成果に結び付ける」と述べ、これまでの取り組みを一層加速させると誓ったが、過去最低となった投票率については厳しく受け止めた。前回に続き現職に挑んだ原口さんは、「大型事業優先から暮らしを応援する県政へ」と訴えたが、及ばなかった。

 投票箱が閉じた午後8時、早々に「当選確実」の一報が長崎市樺島町の選挙事務所に伝わった。「よしっ」。詰め掛けた支持者から、3期目を後押しする大きな拍手が湧き起こった。中村法道さんは「人」「産業」「地域」を大切に政策を進めるとした上で「県民が長崎県に生まれて良かった、住んで良かったと思える県づくりを進めていく」と語った。

 人口減少、県民所得の低迷といった課題に向き合ってきた2期8年。高校生の県内就職率や県外からの移住者数などの面で結果も出始めた。選挙戦では、こうした流れを止めることなく進めると強調。「今後4年間で、県民の思いや夢を具体的な成果としてお返ししたい」と訴えた。

 人口減が深刻な離島地域は「本県の縮図」。「何とかしなければ」と傾ける情熱は、遊説日程に形として表れた。17日間の選挙戦で離島での宿泊日数は、前回の1泊から今回5泊に増え、島民との対話や課題の理解に多く時間を割いた。

 そんな中村さんに、最大の“敵”として立ちはだかったのは投票率だった。

 選挙戦終盤。出身の南島原市を回った後、「反応は悪くない」と語りながらも、「投票率に結びつくと考えるのは甘い」と不安を漏らしていた。結果は過去最低に沈んだ。「最低でも前回を超えなければ負けたも同じだ」と話していた陣営幹部も、予想以上の低さにうなだれた。

 前回選と同じ顔触れの一騎打ちで、「勝敗は決まっている」との見方も強かった。そして投票日の寒さ…。投票率を押し下げる要因が多かったことも事実だが、衝撃は大きい。どう受け止めるか問われた中村さんは、硬い表情で「県政を身近に感じてもらえるよう説明責任を果たしていきたい」と語った。

3選を果たし、支持者から花束を受け取る中村さん(右)=4日午後8時10分、長崎市の選挙事務所

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