西武ドラ1齊藤大が語る「嫌なこと」 言葉ににじむ貪欲さ

西武にドラフト1位で入団した齊藤大将【写真:篠崎有理枝】

西武ドラ1左腕は“投手向き”の性格「やれることは全部試す」

 明大からドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団した齊藤大将投手。神奈川の桐蔭学園高校では甲子園出場の経験はないものの、明大では1年時からリーグ戦に出場。3、4年時には大学日本代表にも選出され、リーグ通算11勝4敗の成績を残した。今月1日から始まった春季キャンプではA班入りし、即戦力として期待されているルーキーに話を聞いた。

 野球を始めたのは小学校に入学する前。兄が入っていた野球チームに母と一緒に行き、コーチとキャッチボールをしていたことがきっかけになった。子供の頃に矯正をして今は投げること以外は右だというが、左利きだったことと、投げることが好きだったという理由で、当時からポジションはピッチャーだった。 スリークォーター気味のフォームから繰り出す最速146キロのストレートとキレのあるスライダーが武器だが、自身が追及しているのはスピードにはこだわらず、どれだけバッターが嫌がる投球ができるかだ。

「スピードは出るに越したことはないですが、自分は力がないので、そういうタイプではないと思っています。そこだけを追い求めていくと、投げ方も普通と違いますが、そういう自分の良さが無くなると思います」

特徴あるフォームは高校から、「一番しっくりくる今の形に」

 特徴ある今のフォームになったのは、高校に入った頃だ。指導者にアドバイスを受けたわけではなく、一番投げやすいフォームを自ら試行錯誤してたどり着いた。

「投げ方は、ずっと自分の投げやすいようにやらせてもらっていて、中学まではもう少し上で投げていたんですけど、結果的に一番しっくりくる今の形になりました」

 試していないのにだめと言われるのが嫌いで、やりたいと思ったことはやってみないと気が済まない性格だ。明大時代のチームメートは齊藤について「自分の意思を最後まで貫き、負けず嫌いで投手に向いていると思う」と話す。

「やってもいないのに、何がだめなのかわからない。それが嫌なんです。とりあえずやってみる。調子が悪くなったときは、プレートの位置を真逆にしてみたり、腕の位置を変えてみたりいろいろ試しました。やれることは全部試して、少しでも『いいな』と思うものがあれば取り入れていきたいと思っています」

目標は「負けないピッチャー、試合を作れるピッチャー」

 インターネットなどから情報を得るのではなく、人から聞くことが一番学べると考えている。今、一番話を聞きたいと思っているのは、自身と同じ左腕で、昨シーズン16勝を挙げたチームのエース、菊池雄星投手だ。

「試合が終わってから次の試合までの体のケア、練習に取り組む姿勢、モチベーションの持ち方などを、プロと学生は全然違うと思います。目の前にすごくいいお手本がいるので、学ぶ機会をたくさん作って、聞けることは聞いて自分のためになることを吸収したいと思います」

 昨シーズン、4年ぶりのAクラス入りを果たし、クライマックスシリーズにも出場。59年ぶりの13連勝を記録したライオンズについて「見ようと思っていなくても耳に入ってきて、記憶に強く残りました。走攻守そろったバランスの取れたチーム。強いチームだと再認識しました」と話す。

「投げた試合は全部勝ちたい。負けないピッチャー、試合を作れるピッチャーになりたい」と力強く語るルーキーの活躍は、10年ぶりのリーグ優勝を目指すチームに不可欠な存在となれるか。

(Full-Count編集部)

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