発泡スチロールを燃料に 対馬の漂着ごみを有効活用

 漁業などに使われ、ごみとして長崎県対馬市に多く漂着する発泡スチロールを圧縮し燃料化するシステムの実証実験がこのほど、同市峰町の市クリーンセンター中部中継所であった。

 水産庁の補助事業で、2013年からシステムの試験を進める公益財団法人「海と渚環境美化・油濁対策機構」(東京)が機材を持ち込み1月30、31の両日開催。発泡スチロールの「圧縮減容機」と、圧縮済みの発泡スチロールを燃料ペレットに加工する「造粒機」各1台を市の環境政策担当者らが見学した。

 同機構や市環境政策課によると、発泡スチロールは石油由来のポリスチレンを発泡剤で膨らませて作る。約98%が空気で、養殖いけすの浮きなどに使われている。市は16年度、漂着した発泡スチロール約2900立方メートルを海岸から回収したが、油化して再資源化できたのは一部にとどまっているという。

 実証実験では、実際に対馬に流れ着いた発泡スチロール(約10立方メートル)を利用。環境機器製造会社の社員らが圧縮減容機に養殖いかだの浮きなどを入れて砕き、摩擦熱で容積を5分の1(約2立方メートル)に加工。次いで、一部を長さ約1センチの燃料ペレットになるよう造粒機で固めると、容積がさらに8分の1(0・25立方メートル)になることを示した。

 機構業務部の福田賢吾第二課長は「ペレット用のボイラーと併せて設置すれば、エネルギーの有効活用にもつながる」と指摘。市環境政策課の長野元久課長は「ペレット専用のボイラーは島内にないが、発泡スチロールの体積が40分の1になるだけでも、運搬・埋め立てコストが削減できるだろう」と話している。

廃発泡スチロールから作った燃料ペレットを手にする福田課長=対馬市クリーンセンター中部中継所

© 株式会社長崎新聞社