俳優もこなす98年徳島県生まれの女性による2ndアルバム。13年のデビュー時の素直に伸びる歌声、16年の1stでのキュートな歌声を経て、本作ではいっそう幅が広がった。
全12曲、いきものがかり・吉岡のように張った声が印象的な『はじまりのうた』や、塩谷哲のピアノに合わせ、しっとりと母への感謝を歌う『おはよう』（この路線は、作詞:藤田麻衣子の真骨頂）、そしてファンだという西野カナに影響された自作詞の友情ソング『Dear friend』、さらにLIVE向けでポップロック調の『光』と、どれも難なくこなす。
その中で最も個性的なのが意外にもカバーの『しるし』。Mr.Children桜井の歌い方に引っ張られることなく、内省的につぶやく部分も、強い愛を熱唱する部分も、彼女の持ち味がよく出ていて、今後の可能性を感じた。
ともすれば迷走と言われそうなほど魅力が分散しているがまだ満二十歳、強い意欲の表れでもあるのだろう。本作を聴けば、身近な若い人の才能が開花するまで、もう少し気長になれるはず。
（キング・2778円＋税）＝臼井孝
