カズオ・イシグロ氏を名誉県民に 長崎県、来月にも議会提案

 ノーベル文学賞を昨年受賞した長崎市出身の英国人作家カズオ・イシグロ氏について、長崎県が名誉県民として顕彰する方向で調整に入ったことが6日、関係者への取材で分かった。早ければ3月に開会予定の定例県議会に関連議案を提出する見通し。実現すれば名誉県民は5人目となる。

 関係者によると、イシグロ氏が長崎を舞台とした作品を執筆し「長崎の記憶が小説家としての基礎を築いた」などと発言していることを、県は高く評価。作品が世界各国で出版され、国民・県民の文化や、本県の知名度の向上に貢献していると捉えた。

 県はイシグロ氏が被爆2世で平和への思いも強いため「被爆県の思いや取り組みを理解し、世界へ発信してもらうことが期待できる」と判断したとみられる。

 2月中か3月に県幹部や有識者らでつくる選考委員会を開き、その後、定例県議会に提案する構え。顕彰を機に、本人を長崎に招待することも模索する。

 県と市は昨年10月、受賞決定を祝福する手紙をイシグロ氏に送り、同11月に直筆署名入りの返事が届いた経緯がある。

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