ナノ合金の結晶構造制御、京大などが成功・世界初 同じ金属・合金から異材料創出

 科学技術振興機構(JST)は、京都大学、九州大学、高輝度光科学研究センターの共同研究グループが、ナノ合金の画期的な結晶構造制御法を開発したと発表した。金とルテニウムのナノ合金で同一組成でも異なる結晶構造の作り分けに世界で初めて成功した。結晶構造が異なれば触媒活性など物質の性質が異なるため、同じ金属種・組成の合金で全く違う材料を創出できる。他の合金系にも応用可能と考えられるため、新規材料の設計や既存材料の性能向上などへの応用が期待されている。

 同研究では、一般的なナノ合金粒子の合成法である化学的還元法の特徴をうまく利用することで金とルテニウムという組み合わせによる固溶体ナノ合金合成において、面心立方格子と六法最密構造の固溶体ナノ合金を作り分けることに成功した。

 これまで金属の結晶構造は、金属組織学において明らかにされた状態図に従って変化し、自在に制御できるものではないと考えられてきた。同研究グループは、13年にルテニウムの結晶構造の制御に成功していたが、合金で金属の組み合わせや組成を変えることなく結晶構造を制御した報告例は世界的にもなかった。

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