忘れられない授業の話(1)/Nose Hiroyo

概要

小4の時に起こった授業の一場面の話です。

自分が正しいと思ったとき、その自信を保つことの難しさと、重要さ、そして「正しい」事以外に人間はどんなものに動かされるのかという事に気付かされた印象的な場面でした。

小4、国語の授業、定年間近の先生。

忘れもしないその授業は国語の授業でした。

担任の先生は定年間近の女性の先生。

(実際には年齢不詳で、そんなお年とは誰も想像していなかったのですが。)

説明文だったか詩だったか、何処かの解釈について、

先生が意見を求めました。

その時、私と私の他の勉強のよく出来る子が挙手をしたのです。

3回繰り返された『野瀬さんが合ってると思う人、手を挙げて』

その子の発言は、私とは違うものでした。

すると、先生がこう言いました。

「◯◯さんが正しいと思う人、手を挙げてー」

当時クラスの中でよくある光景です。

彼女は頭がとっても良い子で、成績トップ争いをしているような子でした。

皆、手を挙げました。

「じゃあ、野瀬さんが合ってると思う人、手を挙げてー」

私だけでした。

私はどちらかというと謎なキャラ担当であり、哀しいかな、彼女よりも人望が薄かった訳です(笑)

普段ならそこで答え合わせをして終わりです。

しかし、この日だけは違ったのです。

先生は、同じ問をもう一度繰り返したのです。

「◯◯さんが正しいと思う人・・・」

「野瀬さんが正しいと思う人・・・」

今度は私ととても仲の良かった子が私の方に挙げてくれましたが、他の子は皆◯◯ちゃんの方に挙げてました。

あー、私間違ってるのかなー、自信なくなったな。。

そう思った私の耳に飛び込んできたのは、なんとまた同じ問でした。

その時は、私も折れて◯◯さんの方に手を挙げました。

すると、先生はさらっとこう言ったのです。

「最後はやっぱり折れちゃったかー。野瀬さんの方が正しかったんだけどね。」

川の流れの中で立つ勇気

私はドキッとしました。

皆が私の方を見ました。

え、合ってたの?

自分の答えに自信を持っていれば良かった!

だって、答えには自信があったけど、皆が他の方に手を挙げる中で挙げるのが怖かったから、だから折れてしまったのに。

私は(そして恐らくこの教室にいた生徒は)学びました。

『皆が合ってると思ってる事(またはそのように意思表示した事)でも、間違ってることがある』

私が学んだことは2つです。

・人は流されやすい。意思表示をする際に根拠がある時もあれば無い時もある。

・自分が正しいと思った時は自信を持って貫き通す事。

すごい授業でした。

今考えると、先生もよくこんなことをしたなあ、と思うわけですが、今でも自分を強く持つべし、と胸に刻み込まれるに至る事件でした。

(もちろん、自分が間違ってる時だってある。そういう時は素直にそれを認めるよう努めてます 笑)

著者:Nose Hiroyo (from STORYS.JP)

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